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蚊の進化と蚊を真似た注射針

2013年11月05日 18:59

蚊の話2題

最近蚊に関連して2つの話題が新聞に載っていた。一つは血を吸った太古の蚊の化石が見つかったという話と、前から話題になっていたが蚊の吸い口を真似た、痛く無い注射針が完成し海外に輸出されるという話。

 アメリカのモンタナ州の川床で腹部が乾燥した血でいっぱいになっている4600万年前の蚊の化石が見つかり、「Hemoglobin-derived porphyrins preserved in a Middle Eocene blood-engorged mosquito」というタイトルの論文が10月14日発行のon line のProc. Natl. Acad. Sci. USAに掲載された
元生化学者で、引退後は米スミソニアン協会国立自然史博物館(Smithsonian Institution National Museum of Natural History)でボランティアをしているDale Greenwalt博士の研究チームがX 線や質量分析装置などを使って蚊の化石の腹部を調べたところ、膨らんだ腹部から、血中で酸素を運ぶヘモグロビンの成分である鉄やヘモグロビンに由来するポルフィリンの痕跡が検出された。

 吸血昆虫には、蚤、シラミ、南京虫、などがいるが、最もよく知られているのはアブなどの仲間で9000種にも及ぶ。蚊はマラリやや黄熱病など広範な病気を媒介するため今まで最も研究されている吸血昆虫である。今回見つかった化石は4600万年前のもので年月が経ちすぎているため遺伝子を抽出することは不可能なため、この血液が何の動物のものかは謎だ。Greenwalt氏は、この古代蚊が、鳥の血液を吸う蚊科に属する現代種に似ていることから、腹部に入っているのが鳥の血液である可能性を指摘している。
1993年にヒットした米映画「ジュラシックパーク」では、琥珀に閉じこめられた蚊から恐竜の血液のDNAを取り出し、欠けている部分をカエルの遺伝子で補完し、これを現生爬虫類(ワニ)の未受精卵に注入することで恐竜を再生したことになっていた。更にDNAの欠損してしまっている部位の代替に使われたカエルが周囲の個体の雌雄比率にしたがって性転換をする種であったため、これが発生時にメスのみを生み出すことで恐竜の個体数をコントロールしようとした意図に反して恐竜が自ら繁殖を始めてしまうという問題を引き起こした。なぜ両生類のカエルを用いるように書かれたのか不明であるが、現在では鳥類が恐竜の直系の子孫であるとされているので、鳥類をベースとして用いるのがより適切だろう。
しかしながら同博物館によると、DNAは約500年で半分が壊れるため、今回の化石より古い恐竜時代の蚊の化石に完全なDNAが残っている可能性はほとんどないという。これまでに発見された最も古い蚊の化石としては、ミャンマーで琥珀に入った9500万年前の蚊が発見されている。真に恐竜時代の蚊であるが、現在と同じような姿をしていて、すでにその時代には蚊は進化のピークを極めていた事が分かる。
 通常蚊は草や果物の汁を食事としている。吸血行動を起こすのは雌の蚊だけで産卵を行なうときだけ、栄養価の高い血を吸う。しかし刺されて,痛く無く、かゆくなければ、気づかれずに血を吸って逃げれるのになぜ「蚊に刺されるとかゆい」ようになっているのだろうか。

かゆみの元は蚊の唾液のせいであることはよく知られている。また
蚊の唾液には血液の凝固を阻止する物質が含まれている。 血を吸っているときに血液が空気に触れて固まっては困るからだ。 人の高度に進化をとげた「血液の凝固因子」を効かなくする物質を作れるなら、 アレルギー反応が起きにくく血を吸えるように、 もうひと進化しても良いのでないかとも考えられる。 そうすれば蚊は安心して血を吸えるし、血を吸われる人からみても、 アレルギー反応が起きないということは、かゆくならないのだから、お互い良い話にも見える。それなのになぜリスクを犯してまで蚊はかゆくする必要があるのか?

  ヒルなどは相手をかゆがらせないで血を吸う。 となると、蚊がかゆいのは、絶対に必然的なことでもない、と言わなければならない。なかなか納得のいく説明は難しいが、人間の方でかゆくなるように進化したという説がある。
つまり、人類と蚊類の進化のなかでは、蚊に刺されてもかゆくならない人間も存在したが、 そういう吸血生物などに無頓着な人間は伝染病などにかかる確率が高いので、 滅んでしまった。つまりウィルス等に感染しないように人間のほうで進化したのではないかというのである。面白い説であるが未だ正解は明らかでない。

2つ目の話題 「蚊の口針を模擬したマイクロニードルの作製」

 生物がもつ特殊な機能や不思議な能力を利用する「バイオミメティクス(生物模倣)」については過去にブログで取り上げた。今回は蚊の吸血針を模倣した痛く無い針を作ったという話が新聞に載った。なぜ、蚊に刺されても痛くないのだろうか。蚊の針は一本ではなく7本で出来ている。上唇(じょうしん)、下唇(かしん)、咽頭(いんとう)、そして大顎(おおあご)と小顎(こあご)が2本ずつ、で計7本だ。それらを駆使して血を吸っている。なかでも重要なのが上唇と小顎の3本。真ん中にあるのが上唇で血を吸う部分。そして、上唇の両側に小顎がある。小顎はノコギリのようにギザギザになっている。 このギザギザが痛みの軽減に役立っている。ギザギザの先しか皮膚に触れないので、その分、抵抗が小さくなりすっと刺さりやすい。さらに、この3本が連動し動くことで、痛みをやわらげている。
 まず、①小顎の1本を突き刺しながら上唇を引く。次に、②上唇を突き刺しながら、2本の小顎をともに引く。③今度は、①とは逆の小顎を突き刺しながら、上唇を引く、そして④最後に、両方の小顎を引いて、上唇をぐっと突き刺す。この一連の動作を1秒間に2~3回繰り返しながら前進していく。加えて、咽頭と呼ばれる針から唾液を出して血液が固まらないようにし、時間をかけて上唇から血を吸っている。この蚊の吸血の機序をじっくりと観察し、関西大学システム理工学部教授の青柳誠司先生は痛く無い針を開発し実用化したのだそうだ。

 痛く無い針と言えば数年前東京の下町の工場で、非常に細い針が開発されたという報道を思いだす。これは非常に針が細いので、皮膚の痛点に触れないで針を入れる事ができるので痛みが無いという理論によっていて、糖尿病患者がインスリンを毎日打つのに、非常に重宝されている。
 今回は更に一歩進化した針で、蚊の吸血から学んで作られた無痛の針だ。蚊は如何にしてこのような複雑な吸血針を進化させたのであろうか?恐竜の時代にはすでに蚊はこの強力な武器を進化して持っていた。そのため、あまりにも生存に強力な武器なので、それ以上の進化せず、太古のままの姿で現在も繁栄し,人を困らせている。更にこの吸血行動を利用するちゃっかり物として、ウエスストナイルウイルスや日本脳炎ウイルス、更にはマラリア原虫などが自分の子孫を伝搬するために利用している。上には上がいるものだ。
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過酷な自然環境を生き残った哺乳動物

2013年10月17日 17:57

大量絶滅と哺乳類

  現世において我々霊長類を頂点とする哺乳動物がこの世の春を謳歌できるのは、地球上で何度かの大量絶滅が起こり恐竜などの強力な競争相手が全て滅んでしまったからに他ならない。

  約10億年前に多細胞生物が出現し、その後、8億~6億年前 に起ったスノーボールアース(地球が全て氷に覆われた状態)の間も生物は存在し続けた。多細胞生物は原口を獲得し、強力な捕食能を有するに至り、海底には熱水鉱床などの熱水を発する箇所があり、スノーボールアースの間、その近辺で生物は隔離されて生存できた。このような地理的な隔離は、ガラパゴスとかオーストラリア大陸のように生物の多様性を形成した。スノーボールアースの地理的な隔離の間、どのように捕食するか、どのように捕食から逃れるかの観点から多細胞生物は多様性を形成し、これがエディアカラ生物群やバージェス動物群のような多様性を形成した。カンブリア紀には海洋が地球上のほぼ全てを覆い尽くす。海中では様々な種類に至る海洋生物が現れ、中でも三葉虫等の節足動物が繁栄し、藻類が発達した。およそ5億4200万年前から5億3000万年前の間に突如として今日見られる動物の「門(ボディプラン、生物の体制)」が出そろういわゆるカンブリア爆発が起こった。

大型捕食動物の出現とともに、カンブリア爆発の際には堅い外骨格をまとった動物が多く見られ,更には目を持った動物まで現れ、優位に生存競争を生き抜く進化が起こった。しかしながらカンブリア期で,多種多様な多くの生物が出現し繁栄を極めたが、殆どの生物はペルム紀末に死滅してしまった。そのような大量絶滅は地球の歴史上5回起こったとされる。これらをビッグファイブとよぶ。つまりカンブリア紀以降、5度の大量絶滅(1.オルドビス紀末、2.デボン紀末、3.ペルム紀末(P-T境界,Permian(ペルム紀)-Triassic(三畳紀))、4.三畳紀末、5.白亜期末(K-T境界,Kreide(白亜紀)-Tertiary(第3紀))と、それよりは若干規模の小さい絶滅が数度あった。

中でも3度目の地球史上最大の大量絶滅(ペルム期末の大量絶滅、2億5100万年前)が古生代後期のペルム紀末、P-T境界(約2億5100万年前)に起こり、海生生物のうち最大96%、全ての生物種で見ても90%から95%が絶滅した。古生代にもっとも繁栄を極めた生物のひとつ三葉虫もここで完全に絶滅してしまった。ペルム紀の大量絶滅は、生き残った生物があまりに少ないため生物界での境界線とされP-T境界と呼ばれる。ちなみにもっとも有名な恐竜の絶滅もK-T境界と呼ばれているが、このP-T境界に比べれば規模の小さいものである。
  史上最大規模のペルム紀大量絶滅はなぜ起きてしまったのか?原因は超大陸パンゲアの出現。パンゲアとは、当時の大陸が衝突しひとつにまとまった超大型大陸のこと。このパンゲア完成にともなって火山活動が活発化したことがペルム紀の大量絶滅の原因と考えられている。火山活動によって発生する大量の二酸化炭素は、温室効果を生み気温を上昇させ急激な環境変化(プルームテクトニクスを生み出した。また、メタンと酸素が化学反応を起こし、酸素濃度も極端に低下してしまった。酸素濃度の極端な低下による大量絶滅の直後には、空席になったニッチ(生態的地位)を埋めるべく、生き延びた生物による急激な適応放散がおきた。このとき気嚢を持つことで低酸素環境に適応した恐竜は生き残りその後繁栄を極めることになる。また、横隔膜を持ち腹式呼吸を身に着けた生物種はその後われわれ哺乳類の祖先となった。

  次の大量絶滅(ビッグファイブ第4度目三畳紀の大量絶滅,1億9960万年前)は中生代にあたる三畳紀に起きた。三畳紀ではすでに恐竜が繁栄し、最初の哺乳類も誕生していたといわれている。しかし、この三畳紀でも激しい火山活動などにより地球は低酸素状態になり大量絶滅が起きてしまった。三畳紀の大量絶滅では地球上の生物のおよそ76%が姿を消してしまう。海ではアンモナイトや魚竜、陸では単弓類の多くが死に絶えた。恐竜の中で乾燥に強いタイプの種は生き残るが、多くの大型爬虫類は絶滅してしまった。この大量絶滅を生き残った恐竜たちは空席になった生物的地位を求めてその後急激に進化することになる。三畳紀の大量絶滅がなければジュラ紀の恐竜大繁栄はなかったのかもしれない。原因は再びの火山活動。ペルム紀の大量絶滅によって幕を開けた三畳紀だが、終わりを迎えることになった原因もまた、ペルム紀と同じ火山活動と低酸素化だった。活性化した火山は次々と溶岩を噴出し、大地を焼き尽くしながら生き物たちの住処を奪った。二酸化炭素の増加による温室効果で気温が上昇し環境に激しい変化をもたらした。さらに信じられないことに低酸素化が原因で大量絶滅が起こったペルム紀の酸素濃度が大気の30%なのに対し、三畳紀では最大で5%まで低下してしまった。

  ペルム紀の大量絶滅や、中生代の三畳期の絶滅を生き残り、ジュラ紀,白亜紀には恐竜が全盛期を迎え頂点に君臨した。そのような時に起こった大量絶滅(ビッグファイブ第5度目の白亜紀絶滅,6500万年前)はもっとも有名な大量絶滅だろう。K-T境界と呼ばれるこの絶滅で三畳紀、ジュラ紀、白亜紀と大繁栄を極めた恐竜たちは完全に地球上から姿を消した。この大量絶滅では全ての生物種のおよそ70%が死に絶えた。地上では哺乳類、爬虫類、鳥類の多くが絶滅し、海洋でもほぼ全ての水棲爬虫類が姿を消した。シルル紀から長くにわたって生き残ってきたアンモナイトもこのとき全て絶滅してしまった。そして、三畳紀、ジュラ紀、白亜紀と大繁栄を誇った恐竜たちも完全に地球上から姿を消すことになった。 K-T境界と呼ばれるこの大絶滅を生き抜いた哺乳類はやがて進化し、恐竜に代わり地球を支配することになるが、 この白亜紀の大量絶滅がなければ高度な文明を築いたのは我々人類ではなく、恐竜たちだったに違いない。

  大量絶滅の原因として最も有力な説は巨大隕石の衝突だ。 白亜紀末に形成されたと思われるクレーターがメキシコ・ユカタン半島で確認されており、 その大きさは直径180 kmにも達する。この衝突で発生したエネルギーは広島原爆の30億倍にあたり一瞬にして見渡す限りを火の海に変えた。発生した地震は人類が経験した大地震の7億倍のエネルギーで揺れだけで地盤は数十メール捲り上がり、数千メートルの高さの津波が発生した。まさに東北大災害時の津波の比ではない。巻き上げられた粉塵は地球全体を多い太陽光を遮断し、光合成を破壊し、数年にわたって酸性の雨が降り、植物は枯れ食物連鎖は完全に崩壊してしまった。

この6500万年前に起こった大量絶滅を最後に大規模な絶滅は起こっていない。しかし地球温暖化、酸素濃度低下や隕石衝突などによる環境の大変化が近い将来に起こり、人類を含む多くの生物種が死に絶えるような事態がこないとは言えない。
 こうして見ると大量絶滅が起こり、その隙間を埋めるように絶滅期の厳しい環境を生き抜いた生物種が、天敵が死滅したおかげで繁栄するようになり、地球上の支配者となり、またそれらの支配者も次に起こった大量絶滅で死に絶え。敵から隠れてひっそりと暮らしていた生物種が大量絶滅を生き残り、次の時代を謳歌し、進化して行く。このような自然環境による生物種の選択が何度も起こり、偶然に恐竜などに隠れてひっそりと生活していた小型の哺乳動物がそれらの試練をくぐる抜け、進化し現在の繁栄のチャンスを得た。しかし次の大量絶滅が起こったなら人類は死に絶え、次に地球上で繁栄するのは何? 別のほ乳類又は爬虫類 又は昆虫?

このような大量絶滅のきっかけを人類が作らなければいいけど。いまや最大の環境破壊者は人で、人類が排出した炭酸ガスによる地球の温暖化は気候の極端な変動を生じつつある。今起こっている現象が更に進み、気温が上がり、巨大な暴風雨が頻繁に起り、北極の氷が解け、海面の異常な上昇が起るなど、取り返しのつかない地球環境の変化につながり、大量絶滅に至らないと誰が言えるであろうか?
恐れを知らない欲深い人類ほど恐い物はない。

氷河期

2013年09月05日 18:42

現在、我々は氷河期に生きている事をご存知であろうか?しかし、氷河期とは裏腹にこの夏の暑さはどういう事だ。

現在、この地球上では人を頂点とする哺乳動物が栄耀栄華を誇っている。しかし、これもいくつもの偶然が重なり、地球の環境変化によって、敵対する生物が死滅し、哺乳動物が偶然生き残ったためだと言える。
地球上で起こった生物進化に大きな影響を与えた地球環境の変化としていくつか挙げられているが代表的な物として、1)火山活動が活発化し酸素濃度が極端に低下。2)巨大隕石の落下による粉塵が太陽光を遮断。3)氷河期による地球の寒冷化 などが挙げられる。

氷河期とは南北両極の氷床、山地の氷河が発達している時期を言う。つまり我々が住んで居る地球は現在氷河期にあり、その中の比較的温暖な間氷期にある。 氷河期の中でも気候は変動する。このため、氷河期であっても長く寒い氷期と比較的温暖な短い間氷期が交互に繰り返される。

現在の氷河期は、4000万年前の南極の氷床の成長により始まり、300万年前から起きた北半球での氷床の発達とともに規模が拡大した。更新世に向かうにつれて更に激しくなり、その頃から氷床の拡大と後退の繰り返しによる4万年と10万年の周期が世界中で見られるようになった。最後の氷期(最終氷期)は約1万年前に終った。

人類が進化してきたここ100万年間は、氷期と間氷期が交互に約10万年の周期で交代し、氷床量の変動は、海水準変動(海面の高低変化)に換算して130mにも及ぶものであった。しかし、このような気候と氷床の大変動の周期と振幅をもたらすメカニズムは謎であった。
阿部彩子東京大大気海洋研究所准教授はこの謎を解き、8月8日付けのNatureに発表した。 過去100万年の間、氷河期が約10万年の周期で繰り返しているのは、陸地を覆う氷(氷床)の重さで下の地盤がゆっくり上下するために起こる。 氷床が大きくなると、下の地盤は重みによって数千年遅れて沈み始める。融解した後には隆起する性質があり、上下動は約千メートルにも達する。地盤が沈めば、氷床表面の高度が気温の温かい位置に下がって解けやすくなるなど、上下動は氷床の形成に影響を及ぼす。彼女のグループは、こうした効果や日照量の変化、二酸化炭素(CO2)による温室効果を盛り込んだ計算モデルを作り、北半球の氷床の分布を過去40万年にわたって再現。氷床の重さに応じた地盤の上下が、10万年周期の大きな原因となっていることが分かった。
このような比較的穏やかな氷河期に比べ、地球上で起こった主な非常に過酷な氷河期には原生代初期(24−21億年前)のヒュウロニアン氷期、原生代末期(7.5億年前)のスターテイアン氷期、6.4億年前のマリノア氷期や更に古生代の4.6-4.3億年前のアンデスーサハラ氷期や3.6-2.6億年前のカルー氷期がある。

現在の氷河期とは比べ物にならない苛烈な原生代に起こった氷河期は、過去10億年のなかでおそらくもっとも厳しいものであり、氷が赤道まで覆いつくしスノーボールアース(全地球凍結)を作り出した。スノーボールアースとは、地球全体が赤道付近も含め完全に氷床や海氷に覆われた状態である。通常の氷河期とはスケールも発生メカニズムも違う。 スノーボールアースの状態は数千万年間続き、この間 地球は約 3000m の氷床で覆われた。地球全体の平均気温は-50°C、赤道部でも平均気温は-20°Cになった。海流は気温の変化を緩和するが、この間は海流がないので昼夜の寒暖差も激しい。全水分が凍結して、気候はカラカラに乾燥していた。雨雪も降らない。 しかし、微量の水分が氷から昇華して空気中に戻る。この水分が他所で再度凍結する循環であった。
スノーボールアースの考えは1992年にカリフォルニア工科大学のジョー・カーシュヴィンク教授がアイデアとして専門誌に発表したのが発端である。その後1998年にハーバード大学のポール・ホフマン教授が南アフリカのナミビアでのキャップカーボネイト調査結果などをまとめて科学雑誌サイエンスに投稿し大きな反響を得た。「全球凍結」という壮絶な環境変動が実際に起こったらしいこと、それが原因となって原生生物の大量絶滅(大絶滅)とそれに続く跳躍的な生物進化をもたらしたとされる。たとえば酸素呼吸をする生物の誕生や、エディアカラ生物群と呼ばれる多細胞生物の出現などがスノーボールアース・イベントと密接に関わっていると考えられている。凍結から脱する要素として火山活動に由来する二酸化炭素などの温室効果ガスの蓄積が挙げられる。また、生命についても凍結しなかった深海底や火山周辺の地熱地帯では一定の温度が保たれる場所で生きながらえてきたと考えられている。この氷河期の終結が引続き起きたカンブリア爆発の原因になったと言われているが、この説はまだ新しく現在も論争の的である。古生代に起こったカルー氷期ではスノウボールアース程にはならなかったが、歴史上最大の絶滅、生物種の96%の死滅が起こった。

なぜ「氷河期」が起こるのか。般的な総意としては、大気組成(特に二酸化炭素の減少)と、「ミランコビッチ・サイクル」として知られる、太陽を回る地球の軌道要素(おそらく銀河系を回る太陽系の軌道も関係する)、大陸の配置の組み合わせ、の3つの要素が組み合わされたものがその原因とされている
「大気組成の変化」は特に最初の氷河期について重要な原因とされている。スノーボールアース仮説では原生代後期の大規模な氷河時代の始まりと終りは、大気中の二酸化炭素濃度の急激な減少と、急激な上昇が原因であるとされている
北極圏と南極圏に大陸がどれだけ配置されているかも、氷河期が起こる際に重要であることがわかってきた。特に、新生代氷河期が始まった原因は大陸の配置の変化によるところが大きいとされる。

地球軌道要素は長期にわたる氷河期では大きな原因とはならないが、現在の氷河期の中で交互に起こっている凍結と溶解の繰り返しのパターンを支配しているように見える。

長い地球の歴史において、何億年何十億年という単位での環境の変化,特に炭酸ガス濃度の増減による、気温変化が生物の生死を分け、大量の生物種の絶滅を引き起こし、生物の進化に大きな影響を与えて来た。しかし、現在では自然が起こしてきた環境の変化を人間が引き起こしている。自然では考えられない短期間で炭酸ガス輩出を増加させ、地球を温暖化に向わせ、環境破壊によって多くの生物種の絶滅を引き起こす。人の欲望が長い進化を遂げて来た生物種を滅ぼしている。

生物の多様性(6)

2008年08月09日 20:17

陸を目指した生物

今度はTsuka-kunnからの宿題。「進化の過程で生物が水中から陸上に進出できた条件は」何か? まず植物が陸にあがり動物がその後を追ったようだ。
 シルル紀からデポン紀にさしかかる頃、植物がそろそろと陸上へと進出し始め、それに続いて節足動物も上陸を果しつつあった。陸上への進出は浮力が働く水中生活から重力がかかる空気中に移動するだけの問題ではない。組織は壊れ易く、乾燥はやっかいな問題であった。そこで陸上に進出した植物は、葉緑体の外側に鑞質の皮膜を発達させる必要があった。しかし鑞質の被覆を通して呼吸するとなるとべつの問題が生じてきた。なにしろ水分を保持しつつガスだけ交換しようというのだ。その問題に対して食物は葉の表面の細胞の配列を変えて気孔を作り出した。気孔はそこから空気を取り込み、水分が減少すると気孔周辺細胞が膨らんで孔が閉じる仕組みになっている。一旦このような空調設備を整えると根を伸ばして栄養分の吸収をしたり、緑色の葉状体表面で光合成を行ない、空気と光に満ちた世界に拡大して行った。
 一方、動物で真っ先に陸上に進出したのは節足動物であろうと考えられている。水中から陸上への移行期に瞬間ではあるが節足動物は食物連鎖の頂点にいた。しかし節足動物は外骨格の持ち主であり、内蔵や筋肉をおさめた管を連結したような構造をしている。そのせいでサイズが大きくなるにつれ、より強固な外骨格の必要があり、物理学的な限界、重力への対抗の限界が起こる。呼吸についても同様で、体内に取り込む酸素は表皮から吸収するしかない。たいていの場合、肺として機能を果たすのは体表と接続された細い管(気管)にすぎず吸い込まれた空気はその気管を通って体の各部に送られた。サイズが小さい間は単なる拡散による酸素の伝播でよかったが、サイズが大きくなるとそうもいかない。従って呼吸能力の限界が体の大きさの上限を設定することになる。それでも食物連鎖の頂点にいた海サソリは体長が2mにもおよび、そのため活発には動けなかった。想像するに海サソリはほとんどが水中で暮らしていたが、じっと泥沼のような場所に潜んでいて、獲物が近づいた瞬間に蓄えておいた瞬発力を爆発させて獲物に飛びかかった可能性が大だ。しかし水中での王者の位置はあごを持つ魚が登場することで、蹴落されてしまう。魚が水中での君主の位置を占め、更には陸上も制覇するようになる。
 植物が陸上に進出してまもなく節足動物に続いて、背骨をもつ動物達がその後を追った。デボン紀には背骨とあごの両方を持つ魚が登場した。あごを持つ魚にはトカゲ、コウモリ、鳥、恐竜等陸生動物の全ての祖先となった一種も含まれていた。
 魚が上陸すると初期の頃はハゼのように水陸が接するような水際をうろついていた。これら陸に上がった脊椎動物に生えた足はかなり貧弱なものだっただろう。足は現在の魚の中にもひれを足代わりに歩くのがいるように、ひれを足へと変化させていったと考えられる。しかし例の如く、生き残りをかけた競争によってたちまちりっぱな足へと進化した。
 陸上生活には肺も必要だった。魚のもつえらではたちまち乾燥してしまう。小型の小動物では気管という細長い管を体内に引き込むことでこの問題を解決したが、体が大きくなるとこの手は使えない。当時の脊椎動物のなかで肺魚が呼吸器官を早いうちから発達させていた。肺魚は体内に収納した肺と気管の湿った壁から酸素を吸収している。そして一旦出来た肺は壁をどんどん折り畳んで酸素の吸収効率を上げるような進化をとげた。体から水分が奪われるのを防ぐうろこ(皮膚)、よたよたと動かせる4本の足、そして肺を備えた時点で水を離れて陸上をのし歩く事が可能となった。つまり動物の陸上での生活条件は皮膚と足と肺の発明にあった。そして広々とした、緑豊かな、光一杯の陸地での生活が始まる。しかし幼生段階を水中で過ごすという習慣は後々まで残る事になる。一旦陸上への進出を果たすと、すぐさま凄まじい競争が始まり、頂点を目指して様々な進化が始まった。
一方、植物はできるだけ動物に喰われない様な、うまく動物を利用して受粉したり種子を遠くへ運ぶ進化をする。次回に植物と動物の敵対関係、共存関係について話す。

生物の多様性(5) part 4

2008年08月04日 19:30

Flying 4 鳥類の出現
今から1億4500万年頃前のジュラ紀後期になると羽毛をもった鳥の祖先が誕生した。よく知られている始祖鳥(Archaeopteryx lithographica)である。始祖鳥の化石はドイツのゾルンホーフェン地域のジュラ紀後期の地層から初めて見つけられた。始祖鳥は現在の鳥たちと異なり、歯がはえ、胸骨も平で、長い骨の尾をもっていたが、現在の鳥が持っている羽枝、小羽枝(羽枝に生じる小毛)と小鉤(小羽枝に生じた小突起)の3構造よりなる風切羽をもつように進化していた。風切羽は羽軸に対し著しく非対称で、飛行機の翼と同じ構造をとり、揚力を生むことができた。羽を持つ以外の形態は小型肉食恐竜に良く似ている。始祖鳥は羽を持った恐竜と呼んで差し支えないくらいだ。更に羽毛は体温の保持にもすぐれ、小型の鳥でも体温の保持に有利であった。しかし温血動物であったかというとそうではなかった可能性が高い。温血性は進化の系統樹において鳥類がもっと進化した過程で獲得したと考えられている。始祖鳥は力強い飛行はできたけれど、どちらかというと走ったり、跳んだり、滑空したり、羽ばたいたりして生活していた。
鳥がどこから進化してきたのかの説には二つのモデル「tree-down model」と「ground up model」がある。「tree-down model」によれば鳥類の先祖は樹上で生活し、現在のリスやむささびに近く、木の間を滑空していたとするもの。一方「ground up model」によれば祖先は地上で生活し、跳ぶ羽を発達させてきたという。このどちらかであるかの結論は未だでていない。
翼竜と鳥類が進化の過程でどのように競い合ってきたか? 羽の創製は進化において革命的なで出来事であった。羽を産み出すことにより、一気に大空を独占できた。 鳥の羽の構造は揚力を得るのに有利で、航空力学的にもコントロールした飛行にも適していた。また飛行に重要な体温の保持にも羽毛は適し、鳥達は大空での生き残り競争に勝利し小型の翼竜たちをたちまち絶滅させた。温血性を獲得した鳥は地球上の温度が低下した大絶滅期にも生き残った。一方、体温の保持できない恐竜や大型翼竜は絶滅の憂き目をたどった。羽という飛翔の道具の開発が大空を制した。
図1始祖鳥、図2 始祖鳥の羽、図3 羽の非対称性と揚力発生の仕組み、

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