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霜葉は2月の花よりも紅なり

2009年12月22日 18:51

紅葉と黄葉
秋になると広葉樹は葉を色づかせ、落として冬に備える。何故葉が赤くなったり、黄色くなったりするのであろうか?なぜ落葉する樹と常に青い常緑樹があるのであろうか?高校生に立ち返ってこの問題を考えてみよう。

植物には葉の表面にたくさんの気孔と呼ばれる穴があって、ここから空気を取り入れる。ほとんどの樹木について気孔は日中に開き、夜閉じるようになっている。気孔から取り入れられた空気中の二酸化炭素と、根から幹をつたって葉へと吸い上げられた水、そして葉に色を作り出している葉緑素で捉えられた太陽光エネルギーで光合成と呼ばれる化学反応が行われ、ぶどう糖やでんぷんと酸素が作られる。酸素は気孔から大気中に放出され、ぶどう糖やでんぷんは樹に蓄えられエネルギーとして使われる。樹木は生命を維持するために多量の水をもっているが、葉にある気孔から蒸発していく。この気孔から大気へでていく水分とその木が置かれている環境が、落葉樹と常緑樹を決める。

 基本的に落葉樹は雨がたくさん降っている季節であれば、葉の表面の気孔から大気中に発散される水分をまかなえる水分が保持できるので、できるだけ光合成をしてエネルギーを保存することに使われる。しかし、乾季や冬の雨がほとんど降らない時期は気孔から水分をどんどん失われていくと生命に影響するので、光合成を犠牲にしてまでも、いまある貯蓄で雨の少ない時期を耐え忍ぶ道を選択する。このために落葉樹は2~3週間のうちには葉を枯らせて落としてしまう。落葉樹は環境条件に従って、吸収するよりも多くの水分が失われる時期に活動を停止して、光合成で得た養分を保持してじっと環境がよくなるまで待つ方法を確立した。また草は環境のよいうちに種を作りそれを拡散させて(次世代が)生き残る手段を確立した。次に、葉を落とさなくても環境の悪い時期を耐え忍ぶ常緑樹、その中でも寒い冬に対抗する手段をみつけた木として針葉樹があげられる。
針葉樹は針状の葉っぱを持っている。これによって光合成ができる面積も少なくなるが、気孔の数が少なくなり水分蒸発を防いでいる。また針葉樹は一部の木を除いて常緑であるから、冬の最中でも温かい日や、春も間近になると落葉樹がまだ新しい葉をつけないときから光合成ができるという利点もある(日本の針葉樹ではカラマツだけは落葉する)。だから落葉も常緑も一長一短なのである。では楠は?楠は日本古来から存在した樹ではなく、有史以前に中国南部から渡来した樹であり、主に南西部に分布する。中国南部に植生していた樹であるため、従来の性質通り日本の冬にも葉を落とさない。

落葉樹は秋になり、気温が下がって来ると紅葉や楓は赤くなり、銀杏の葉っぱは黄色くなる。赤くなったり黄色くなったりする仕組みはどのようになっているのであろうか? 赤く紅葉する植物の場合、まず葉柄に離層(りそう)と呼ばれる細胞の層が作られ、葉から茎に向かう養分の補給が止まる。光合成ででんぶんがつくられる。しかし離層があるためにでんぷんが葉にたまることになるが、この葉に蓄積されたでんぷんは糖に分解されていく。一方で、葉っぱの緑色のもとになっているクロロフィル(葉緑素)は多量にあるが、これが寒さでアミノ酸に分解されていく。この糖とアミノ酸からアントシアンという物質が作られていく。このアントシアンが紅葉を作り出している。
 晴れの日照時間が長く、秋に急に冷え込むと紅葉が綺麗だといわれるのはでんぶんが多量に生成され、またクロロフィルが急激に分解されるために、結果としてアントシアンが多くなり葉っぱがより紅くなるためだ。
一方銀杏の葉のように黄色くなるのはどのような機序であろうか?

葉にはカルチノイドという黄色い色素が少量ではあるが含まれている。黄色くなるイチョウは、離層が完成する前に葉の糖を全て幹に送りだす。糖のない状態で葉の葉緑素が壊れるのと更にアントシアンを生成する酵素が欠乏しているため、それまで隠れていたカロチノイドという黄色い色素が出てくる。イチョウが黄色くなる理由は、少しでも多くの栄養を幹に送り出し厳しい冬に耐えようとする生き残り戦略だ。

銀杏の樹は街路樹などに植えられ、秋になると黄色に姿を変え、目を楽しませてくれる機会も多く、今ではありふれた樹と考えられているが、実は「生きた化石」なのである。実際、西欧では300年前くらいの人たちは化石でしかみることができない一億年前に栄えていた木だと思っていた。しかし日本から帰ったオランダ人がイチョウの苗木を持ち帰りその存在が西欧に驚きをもって伝えられた。しかしこの日本の銀杏も中国伝来で仏教が伝来したときに伝えられたものだと言われる。日本でもイチョウはすでに100万年前には絶滅していた幻の樹であったのである。





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寄生生物2

2009年12月14日 17:36

フクロムシ ああこれでカニがーーー。

 寄生動物はもともとは自由生活をする種から進化したと考えられている。寄生性の獲得は、独自に、何度も起こったようであり、寄生生活への適応の結果、形態の大きな変化が起こる。吸収や附着、生殖に関する器官が発達する一方、多くの場合に消化器官、感覚器官や運動器官が大幅に退化する。

フクロムシという寄生生物がいる。甲殻類に属するが、エビやカニというよりもフジツボ類の仲間に近いらしい。体節や付属肢はなく、寄生に特殊化して特異な形態をしている(図参照)。フクロムシはカニの腹部にくっついて生活しているが、体は大きく2つの部分に分けられる。袋状になって体外部に出ている部分はエクスターナ(externa)とよばれ、繁殖のための器官であり、本体はインターナ(interna)と呼ばれ、これが木の根っこのようにカニの体内に拡がり、養分を吸い取る。フクロムシは宿主内にあるinternaが生きている限り、いくらexternaを切り取っても死なない。Externaは再び生えてくる。まるでキノコのように、形は変化させるし、いくら切っても死なない、しぶとい奴なのです。

プランクトン状態の幼生(雌)が海中を漂いながら幸運にもカニに付着すると、細胞塊を注入する。それがカニの身体を移動して所定の位置に納まると、カニの体内に根を張り寄生完了。その後やはり幼生の状態で同じカニにたどり着いた雄を取り込み生殖を開始、袋状の卵巣(体外部)をカニに抱えさせる。普段良く目にするのは全てメス。つまり、externaを発達させるのはメスだけと言う事です。オスは何をしているのかというと、キプリスという幼生段階を経て、精細胞に分化した後で生涯を終えてしまう。オスは、種の存続と繁栄の為の道具に過ぎないとでもいうのでしょうか。メスは何年も生きるのに対し、オスは、おそらく、長くてほんの数ヶ月の命で、受精したらもう御用済みです。

フクロムシは、寄生後徹底的に宿主を去勢します。カニの生殖能力を全くなくしてしまい、単なるフクロムシの繁殖の道具にしてしまいます。雌ガニの場合は外見は普通の雌で、まあ、一見卵を抱えたカニに見える。しかし、雄の場合はそうはいかない。がんばって代わりに「卵を産んで」もらわなければならない、ということで雄はフクロムシの寄生によりメス化させられてしまう。カニのお腹のいわゆる「ふんどし」と言われる部分が細いのが雄、幅広いのが雌というのがカニの簡単な雌雄の見分け方だが、寄生された雄は「産卵」に適するようにその部分がだんだん幅広に変化する。外見まで雌そっくりにさせられ、雄なのに大事げに卵を抱えせっせと異種生物の「産卵」に勤しむように操られる。そしてフクロムシが受精卵で満たされると、宿主であるカニはexternaの表面をクリーニングしたり、幼生放出時にはそれを補助するなど、行動まで操作される。つまり映画で見られるようにエイリアンによって個体が乗っ取られ、自在に操作されるようになるのと同じ事が起こっているのです。というより、映画の方がこれらの寄生生物の行動を参考にして作られているに過ぎないのかもしれません。
カニを食べる時に思い出しそうでいやだ。

このように無敵のフクロムシ君ですが、世の中には、上には上がいて、ヤドカリに寄生するフクロムシに寄生する等脚類(甲殻類の一種でフナムシ等の仲間)というのもいます。これまたベッコウバチの上前をはねる寄生バエと同じ。寄生の寄生、更にその上の寄生と生物の寄生には限りが無い。

行き着く所、最後の最小の寄生生物はウイルスにでもなるのであろうか? ウイルスも宿主を変え、感染、繁殖する。インフルエンザは元々鳥を宿主として繁殖していた。それが豚に感染し、人に迄感染するように変異し、大増殖のチャンスを狙っている。

図 カニに寄生したフクロムシ

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寄生生物1

2009年12月07日 18:00

少し気持ち悪い寄生生物、ハリガネ虫の話。

最近のNatureのBrief Communicationに気持ち悪いハリガネ虫の記事が載った。ハリガネ虫は水中でしか増殖のできない寄生虫。そこでハリガネ虫は宿主の昆虫を水辺に誘い、泳げない昆虫を水中にダイブさせ、まんまと水中に脱出、またカエルに喰われた宿主昆虫からも消化されずに逃げ出す。
ハリガネムシ(針金虫)とは類線形動物門ハリガネムシ綱(線形虫綱)ハリガネムシ目に属する生物の総称。
ミミズや線虫などと違って体に伸縮性がなくのたうち回るような特徴的な動き方をする。体は左右対称で、種類によっては体長数cmから1mに達し直径は1~3ミリと細長い。内部には袋状の体腔がある。表面はクチクラで覆われていて体節はない。
カマキリやバッタ、ゴキブリ等といった昆虫類の寄生虫として知られている。 地方によっては「ゼンマイ」とも呼ばれる。アメリカでは馬を洗う水桶の中から発見されたことからhorsehair wormという俗称がある(Wikipedia)。
ハリガネムシは宿主を水辺へ向かうよう仕向け身体を破って外へ出るが、このメカニズムに関しては未だ不明な点が多い。一説によると宿主に自殺を誘発させる物質により水辺へと誘うと言われているが現段階ではまだ研究中である。 フランスの研究者によると「ハリガネムシが寄生しているバッタの脳からは、寄生されていないバッタにはないタンパク質が見つかった。そのうちいくつかは神経伝達物質の活動に関係するもので、そのほか重力走性に関係するタンパク質があった」と報告されているが未だ真偽の程は定かではない。
いずれにしても水中にダイブさせられた昆虫は、当然、水中ではほとんどまともに動くことができない。
昆虫が水中に身を投げた瞬間、ハリガネムシの脱出のチャンスであると共に、カエルや魚が (ハリガネムシごと) 昆虫を食べてしまうチャンスでもある。 

 

しかし、ハリガネムシはめげない。宿主がカエルや魚の胃の中に収まったと知るや、宿主から抜けだし、カエルや魚の口やエラからニョロニョロと脱出してくる (下記映像)。
ハリガネムシのもう一つの名が "Gordian worms (ゴーディアン・ワーム - ゴルディオスの虫)" です。 

ゴルディオスとはギリシア神話に登場する、フリジア国の王の名前。ゴルディオス王は2本の紐 (ひも) を使い、複雑な結び目をつくり、これを "Gordian knot (ゴルディオスの結び目)" という。 

このゴルディオス結び目をほどいたものは、将来アジアの王になるであろう、といわれたことから、有力者たちが次々とこの結び目に挑戦した。しかし、結局誰一人として結び目をほどくのに成功した人はいなかった。このことから、"ゴルディオスの結び目"は「解決することが極めて困難なこと」を指す言葉になったそうです。 

ハリガネムシは交尾シーズンになると、水中で雌雄が絡み合う姿が見られるため、その複雑に絡みあった姿をこの"ゴルディオスの結び目"に例え「ゴーディアン・ワーム (ゴルディオスの虫)」と呼ばれるようになった。

2つの映像は下記のネットのアドレス、http以下をコピーしてネットのアドレスにペーストし開いてご覧ください。

Ref: Parasitology: Parasite survives predation on its host. Nature 440, 756 (6 April 2006)
映像
1. A gordian worm (Paragordius tricuspidatus) leaves its cricket host (Nemobius sylvestris

http://www.nature.com/nature/journal/v440/n7085/extref/440756a-s2.mov

2. A gordian worm slides out of a frog's mouth, the frog (Rana erythraea) having eaten the cricket in which the worm was living.

http://www.nature.com/nature/journal/v440/n7085/extref/440756a-s3.mov



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