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若手研究者にとってポストと助成金の獲得が年々難しくなりつつある。

2015年02月24日 13:24

若手研究者と熟年研究者の確執

研究ポストやお金の分配と言った事に対し、日本もアメリカも同じ悩みを抱えている。どこの成熟した国でも同じであるが、若年人口の減少と老齢人口の増加という問題に悩まされている。特に日本では深刻な問題となっている。このような、社会的背景を反映して、研究社会も同じ問題を抱えている。熟年研究者の増加に伴って、若手研究者へポストとお金が回らない。熟年研究者の定年が伸び、科研費獲得期間が伸びれば伸びる程若手の出番がなくなる。

若手と熟年研究者のバランスを如何にして取れば良いのだろう?
Natureにアメリカで起っ同じような問題を議論した記事が載っている。
Boer Deng. NIH plan to give ageing scientists cash draws scepticism. Nature 518, 146-147 (2015)

簡単に紹介すれば。
アメリカの医科学研究者のグラントの獲得競争が厳しくなり、特に若い研究者がグラントを取るのが次第に難しくなりつつあると言う憂うる結果が報告された。1980年には、初めて大きな助成金を獲得した平均年齢は38歳であったが、2013年には45歳まで上昇した。更に36歳より若い人が獲得したグラントの割合が、1980年の5.6 %から2012年の1.2%へと激減している。
まさに年老いた皇太子が長い間王位継承を待ちこがれるように、アメリカの医科学研究者は独立したリーダーになることを待ちこがれている。

NIHは熟年の科学者達が彼らの研究をまとめあげるための名誉的なグラントを与えるべきかどうかを研究者達に訊ねた。そのような基金は今までの研究をまとめあげ、研究室を去って、他の仕事につき易くするための手助けになるであろう。NIHは確実にグラントを獲得して来た熟年研究者が研究室から去り、より多くのお金が若い有望な研究者に渡ることを望んでいる。

しかしながら多くの研究者がそのアイデアに懐疑的であると言う。さらにすでに豊富に支援をされて来た熟年研究者に退職時にボーナスをあげるなんてとんでもないと言う人もいる。
NIHの求めるところが独立した研究資金とポジションを持つ若い研究者の獲得であるならば、そうすればいい。実際NIHはより多くのお金を新しい研究者に支給しようとする政策を行い、ある程度の成功を治めて来た。そして、2007年以来新しい申請者が獲得したグラントは経験ある研究者に近づいて来たが、若い研究者から出される申請内容はシニア研究者からのものより質が低いと非難されている。これは多分医科学研究者における年齢比の変化による結果かもしれない。1993年には5人中1人が50歳以上であったのが、2110年には3人に1人が50歳以上であった。この事はNIHの主任研究者の平均年齢が上昇している事を説明している。特許取得やノーベル賞受賞の年齢によれば、最初の発見の年齢自身も上昇している。Northwestern Universityの経済学者であるBenjamin Jonesによれば、この変化はこの1世紀以上、科学の実りを収穫する年齢が、発見により多くの知識を要するようになったため、より歳をとった年齢へとシフトした結果だと言っている。
 問題は不安定なNIHのfundingによって更に増大してきた。1998年から2003年までは予算は2倍、27.2 billion $となった。グラントのお金の増大で、研究所は大きくなり、医科学を研究する学生の職も増加し、多くの学生をこの分野に引きつけた。
しかし、そのようなバブル期の幸運はまもなく去った。2003年以来、NIHの予算は25%減少され、ブームの間に生み出された若手研究者間で、グラント獲得への熾烈な競争が増した。
NIHの予算が着実に増加しないかぎり、医科学研究を志す学生を減らす事しか解決策は無い。しかし新しい研究者が減る兆候はない。2013年に、アメリカの大学での医科学博士取得者は8471人に及ぶ。NIHの初期段階の研究助成を受ける資格のある何千という研究者が785のグラントを争う事になっている。
つまり現状は余りにも多くの研究者が余りにも少ないいすを目指して待っている。

現状は日本でも全く同じ事。ここ20年間、日本の景気はどん底。給料は増えず、逆に減少する始末。それでも日本の未来は科学技術の発展にかかっていると、研究費は増額されてきた。また科学研究者を増やそうと博士過程の人員を倍増させた。
しかしいくら科学技術が大事だからといっても、永久に増やし続ける事はできない。昨今はぼちぼち息切れして来た。ポストも正規のポストでは無いが期限付きの特命とか特任とかの名のつくアカデミックポジションは増えた。しかしそれも財政的裏付けがなくしては続かない。結局任期が切れて、新たな短期のポストを渡り歩くという、不安定な非正規雇用を増やしただけになった。それに大幅に増やした博士研究員が参入してきて、益々科研費獲得や正規ポスト獲得が厳しくなっている。
若手研究者の安定的雇用を考えなければ、日本の将来はない。それなのに政府は更に競争をあおって、良い研究をしている研究者には多額の給料、多額の助成金をあげようという。世界のトップクラスの研究所を作り、多額の金をつぎ込んで助成する政策も行なっている。これらのプロジェクトで評価される人はすでに一流の仕事を成し遂げてピークにいる研究者だ。後は坂道を下るだけ。これらの人を更に助成してもこれまで以上の成果は期待されない。それより全く海のものとも山のものとも分からないが、山の裾野から覗いている原石に目を向けるべきだ。その原石を磨く方にお金をかけた方が、大きな金鉱に打ち当たる可能性があるのではないか?全くの単なる石である可能性も高いが? いずれにしても短期の細切れの施策を打ち出し、一つが終ると次の施策と、科学技術の振興というより公共事業のようにお金をばらまいて、若い研究者を右往左往させるばかりで、育てていこうという意図が見えない。
 これではないよりましだけど、正規のポストを持っている者やボスの大型助成金の傘の下に入っている者とそう出ない者の研究者間に益々格差が生まれ、若い人の未来が見えなくなっている。

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