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大学間格差

2015年04月30日 14:30

地方大学は研究はやらなくてもいい?

最近の日経新聞によると文部科学省は国立大学を3つのカテゴリーに分け、ミッションを明確にさせて、大学経営の効率化を図るつもりだ。
これが実施されれば、今後大学間の格差がますます広がり、地方にいては研究しづらくなるであろう。

記事によれば
 「文部科学省は2016年度から、全国に86ある国立大学を「世界最高水準の教育研究」「特定の分野で世界的な教育研究」「地域活性化の中核」の3グループに分類する。グループ内で高い評価を得た大学に、運営費交付金を手厚く配分する。従来は規模に応じて機械的に割り当てられていた。大学の特色を明確にし、同じグループ内での競争を促す狙いがある。
 下村博文文科相が17日、政府の産業競争力会議の作業部会で明らかにした。各大学は15年中に3グループの中から1つを選ぶ必要がある。選択に当たって同省は審査などを行わず、自主性に任せる。所属グループの選択は、各大学の将来像に大きく影響しそうだ。
 3分類する主な理由は、国立大の収入の柱である運営費交付金(14年度予算で1兆1123億円)の配分方法の見直しだ。大学の規模に応じてほぼ一律に割り振られていることから、産業界が「競争原理を導入すべきだ」と求めていた。
 一方、同じ条件下での競争原理が導入された場合、地方の小規模大は、都市部の総合大学と比べて不利になる恐れがある。このため、同省は3グループごとに、それぞれ異なる評価手法を新たに導入することを決めた。
 各大学の取り組みを毎年度評価し、グループ内で成果が高いと判断された大学に重点的に交付金を配分する。評価手法は文科省の有識者会議が今後検討するが、「世界最高水準の教育研究」を選んだ場合は、論文引用数や外国人教員数などが指標とされそうだ。
 文科省国立大学法人支援課は分類について「各大学の強みをさらに伸ばしてもらうのが目的で、大学の役割を固定化するものではない」と説明。特定のグループに財源を集中することは現時点では検討していない。
 文科省は昨年11月に発表した「国立大学改革プラン」で、グループ分けの方向性を示し、具体策を検討していた。大学の国際化に向けて重点的に支援する「スーパーグローバル大学」の仕組みもあるが、私立や公立を含んでおり、評価手法も異なる。」ということだ。

しかし実際は今まで以上に東大や京大などの大きな大学にお金が集まるようになるということであろう。地域活性化の中核大学にそんなにお金を出すはずがない。文科省は各大学の学部に対し、国立大学改革プランで、各々の大学学部がミッションを明確にすることを求めている。そこでは、地方大学が世界をリードするような研究を目指すといっても受け入れられないであろう。開業医になるための臨床医を育てるとか、学生の教育をしっかりとしてグローバルな社会に貢献できる人物を育てるとか、より実務的にならざるを得ない。そのミッションに沿って評価するとのことなので、示したミッション以外のことをしても評価されない?

 今までは地方の大学にいても、研究をやりたい人は、自分の甲斐性で研究費を集め、それなりに研究できた。地方大学でもいい研究をしてこの大学にこの人ありというような人が結構出ている。それがその大学の顔にも、特色にもなっていた。

しかしこれからはミッション外のことをしても文科省から評価されないので、プランに書いたことのみを努力し、研究熱心な人は逆に煙たがれかねない。大学の役割を固定化するものではないと言っているが、一旦明文化したらそのルールに則って組織は動く。実務的な効率は上がるかもしれないが、自由な発想の中からの思いがけない大発見は無くなるであろう。

一番大きな問題は地方大学にいる優秀な人材を潰してしまうことであろう。なんでもかんでも序列化して効率化、応用性を求めると却って社会は衰退する方向に向かう。今までにも色々と制約はあったが、研究者として、どこにいても自分の責任で自由に研究できたことはありがたかった。「自由だと言っているけど、実際は締め付け」が行われようとする意図が見えることは残念である。
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基礎研究者にとって生き難い世の中に

2015年04月13日 15:07

国は応用研究重視で

ScienceのEditorialにNIHの臨床研究重視の方針に対しての意見書がNIHの長官らによって出された。
NIH research: Think globall
Anthony S. Fauci and Francis S. Collins. Science 348. 159 (2015)

  NIHでは60年以上にわたり、米国のみならず世界中の人々の健康の促進と寿命の延長への研究を援助してきた。その結果ここ70年の間に世界の寿命はNIHの資金援助による医学的および公衆衛生学的進歩により2倍に伸びた。しかし今日では財政の縮小に直面し、議会のリーダーや疾病研究者グループからNIHのファンドを米国で起こっている病気の研究に集中するようにという案が出されている。大部分のアメリカ人の病気や死を起こすような疾病研究への援助は保たれるべきではあるが、世界で生じている大きな病気の研究への援助を減らすことは賢いことではない。
グローバルに健康の促進研究へ携わることは国民、市民を守り、経済を発展させ、海外でのアメリカの利益を増加させる。生きとし生ける人々はそれが世界のどこで起こっていても、人の苦しみを軽減することに理解と感謝をしている。
アメリカの世論は発展途上国での健康を改善することをそれらの国の人々のためにも国境を越えてアメリカにやってくる感染症にさらされるアメリカ人のためにも支持している。
最近の西アフリカで起こったエボラウイルス病のoutbreakはすぐにアメリカへ波及し、グローバルな健康問題がたちまち国内問題になるのを思い起こす一因となった。医療外交という概念は貧しい国の人々の心と精神を、医学的改良、技術改良や人事交流をすることで、健全にする。
アメリカ政府は世界で最も多くの基金の支給を行なっており、世界の貧しい国の数えられない命を救う医療の発展の中心的役割を果たしてきた。
天然痘は撲滅され、ポリオは間もなく消滅する。子供が罹る重要な感染症にはワクチンが開発された。そして7百60万に及ぶAIDSでの死は抗ウイルス薬の開発と投与で中低所得国で2003年から2013年の間に激減した。
より改良された結核の治療薬、寄生虫の治療、マラリアのワクチン、HIV感染の予防と治療への新たな戦略は、将来何百万人もの命を救うであろう。
 そのような複雑な病気の研究は如何に我々が病気を診断したり、治療したり、日常アメリカ国内で見られる様々な病の予防をしたりすることへの新たな指針を与えてくれる。例えば、B型肝炎ウイルスの治療はHIVの治療目的で開発された抗ウイルス薬によって革命的に進歩した。
歴史的に見ても、現代生物学研究から派生した成果はアメリカが興味をもつ領域での人の健康や安定さを損なう主要な病気の撲滅への機会を与えてくれた。
 グローバルなパートナーと仕事してグローバルな研究成果をそれらを必要とする人々に配ることはさけてはならない。そのような約束がなければ、AIDSのような重要な病気の駆除や撲滅および薬物耐性菌、結核やマラリアのような世界的な健康への脅威の出現リスクを減らす機会を見失うであろう。

1940年にFranklin D. Roosevelt大統領は「NIHはヒューマニズムという世界的言語で話をしている」と述べている。それは国境のような制約もなく、人種、信条や皮膚の色による差別もない。 NIHはこれらの言葉で生き続けるべきである。

日本でも日本版NIH構想が打ち上げられ、より臨床応用を目指した研究体制が発足している。つまり世界的な応用重視傾向である。
日本では今日まで基礎研究はそれなりに重んじられてきた。しかしiPS細胞の確立以来、その波及効果的応用を成功させようと、政府は躍起になり多くの金をiPS研究につぎ込んできた。また多くの基礎研究が応用研究につながっていないとして、大々的にトランスレーショナル研究を打ち出した。いま巷では補助金を受けたいのならiPS研究か創薬研究という傾向にあり、基礎研究で生き残るのは難しい状態になっている。


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