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研究費と論文の数と質

2016年03月18日 12:55

研究費の額と論文数は相関する。

 1. 大学間格差と運営費交付金
 昨年文科省は大学を3種に分類し、すべての国立大学にどこかに属するように指令した。そしてその分類ごとに実績を評価し運営費交付金学を査定するとした。その最初の査定による配分が行われた。
 分類は「世界で卓越した教育研究」と「全国的な教育研究」に「地域に貢献する教育研究」で、自分の大学がどこに属しているかは知っているであろう。
「世界で卓越した研究教育」には16大学が、「全国的な教育研究」には15大学がそして「地域貢献教育研究」には55の大学が属している。
今年の配分が決まり、その結果もすでに新聞紙上で公表されているので、自分の属する大学がどの程度頑張って、評価されているのかは分かる。
運営費交付金は全体で1兆1000億円にのぼり、国立大学の収入の3−4割を占めるのでこの額の多少は大学にとって生死を決定する大問題である。 今年度はその中の100億円を評価によって重点配分した
そのうち「世界」には59億円、「全国」には6億円で「地域」には29億円の配分となった。
世界で卓越のグループでの配分は 高評価で前年度の110.3%の配分が(京都、神戸、九州)の大学で、100.2%が(北海道、東北、筑波、東京、一橋、名古屋、大阪)、90.2%が(千葉、東京農工、東京工業、岡山、広島)で もっとも評価が低かったのが80.2%の(金沢)となっている。
どのような評価を行なったのか定かではないが、今後この傾斜配分の額がどんどんと増えていき、大学間での格差が益々つくことになるのは間違いない。

2. 研究費と論文数・質
ところで日本の大学の世界的な評価と研究レベルの現状はどうなっているのであろうか?
詳細に調べたレポートが発表されている。
国立大学協会 政策研究所のレポートで鈴鹿医療科学大学の学長の豊田長康氏によるものだ。

結論は「日本の研究力は低迷し、先進国では最低」。
主要国の中で唯一日本のみ論文数が停滞、減少している。人口あたりの論文数は35位で台湾は日本の1.9倍、韓国は1.7倍の論文を産生。その上、注目度の高い論文数も26位と低迷。
なぜこのように日本の研究が急速にダメになっていったかの理由が面白い。
理由に挙げられるのが 1. 人口あたりの正規の研究者数が先進国で最低。2. 人口あたりの公的研究資金の投入が先進国でもっとも低い。もっとも高いシンガポールは日本の4倍以上。主要6カ国の中でも最も少なく、約半分にしか達してない。
 調べてみると論文数は研究者数や研究費と綺麗に正の相関をするそうだ。

もっとも面白いデータは大学などの研究教育機関よりも国の研究機関に資金を投入しいている国ほど論文数が少ないのだそうだ。最低は中国で日本はそれに次ぐ。日本では研究資金の52%が公的政府機関に投入され,大学へは39%となっている。日本は国の研究機関への資金の投入が膨大に膨らみすぎ、大学への資金の投入が極端に減少、コントロールの効かない大学の研究を軽視したため、研究の量・質とも低下した。
 日本の論文の国際競争力は2002年をピークに低下。これは1998年頃から始まった公的研究資金の減少から4年経った2002年頃から顕在化した。G7の他の国に対しての競争力はピーク時の60%から45%へ10年間で15%低下した。日本の学術論文の80%が大学から産生されており、その停滞が日本の停滞の大きな原因となっている。
  結論として国立大学の論文数の減少をもたらした主な原因は(1)正規 の研究員の減少、(2)運営費交付金削減に基づく基盤的資金の減少に加え、(3)重点化と称して偏った研究への資金の投入(国の機関への)が上げられる。日本のレベルをピーク時までに回復するためには25%,韓国に追いつくには1.5倍、G7諸国や台湾に追いつくには2倍の研究資金が必要である。 これがレポートの要旨。

  なんのことはない、常勤ポストの不足、ポスドクの就職難、研究費不足、論文数減少、注目度の高い論文の減少、国際競争力の低下。これらはすべて政府(文科省?)がもう少し予算を大学教育、研究に回し、研究者のポストを増やせば解決することではないか。
 政府は日本は資源も乏しく経済成長を維持し国際的に生き残るには、研究開発を重点的に進めるより手がない。財政困難にもかかわらず、研究開発への予算は別枠だと言っておきながら、この体たらく。実態と言っていることのギャップのひどさ。
 これでは少子化問題だけではなく、国際競争でも日本は死ぬわ。
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ゲノム編集技術の応用が始まった

2016年03月09日 16:07

遺伝子改変が簡単に(いい面と悪い面)

今までの品種改良は偶然に生じる遺伝子の変化によって、長い間かけて少しづつ改良を重ねていくということで行われてきた。しかし最近開発されたCRISPR/Cas9系ゲノム編集技術を持ってすれば目的の遺伝子を狙い撃ちにでき、それも短期間で破壊、修復できる。当然動物や植物の品種改良への応用はすぐにはじまるだろうとは思っていたが、より大きい魚、病気にかかり難い鶏神戸牛のような牛、より甘い果物、美味しい野菜といくらでも品種改良に応用がきく。
 日本でもタイやフグに応用され、1.5倍の大きさの魚が得られている。
実際には筋肉の成長を抑える遺伝子「ミオスタチン」の破壊をゲノム編集で行っただけ。この「ミオスタチン」を破壊した魚をクローン化すれば、永久に大きくて味のいい魚が得られる。
他にも収穫量の多い米、腐らないトマトとかおとなしいマグロを作り出すことがすでに行われている。日本での研究はまだ可愛らしいものだが、アメリカでの研究は一歩進んですでに臨床応用もされている。27年前にエイズウイルスに感染し、発症を防ぐため毎日複数の大量な薬を飲んでいるマットシャープさんは長年飲んでる薬の副作用でめまいや下痢が起こり、それでも免疫力はだんだん低下してきた。
そこで行ったのがゲノム編集。エイズウイルスはリンパに侵入し、リンパの機能低下を起こし、免疫能を弱らせることがわかっている。リンパ球をとり、エイズウイルスが細胞に侵入するときにくっつく細胞表面にある受容体CCR5を破壊し、リンパ球を体に戻してやるというやりかたで治療を行った。実際にデルタ32-CCR5の変異を持っている人はエイズに耐性で、この骨髄を移植したエイズ患者は完全に正常の状態になり、エイズウイルスの検出も不可能になる。同様に、ゲノム編集すると免疫力が大幅に上昇し薬を飲む必要もなくなった。いまやHIVは完全に治る病気になったとゲノム編集を行った企業サンガモバイオサイエンス社(Sangamo BioSciences Inc)のCOEエドワードランフェイエ氏は述べている。
それどころではない。アメリカのブロード研究所(Broad Institute of Harvard and MIT)では人間のすべての遺伝子2万余をすべてゲノム編集できるようにしようとして将来の戦略に備えようとしている。
今の所、変異している遺伝子がわかっている患者から採った細胞をゲノム編集してさらに修復して元に戻すという方法がとられている。この方法は修復した細胞を体に戻したときに組織に入っていけるか、器官を作ることができるかという大きな問題があるが倫理的問題は少ない。
しかしこれが受精卵を使ってゲノム編集をするとなると、人造人間を作ることにもつながりかねない、危険な技術でもある。しかし受精卵を用いてのゲノム編集がすでに中国でなされたという。
中国のBoyalife Groupはゲノム編集以前にまずはクローン化した犬や食肉牛の生産を開始した。そして2020年までに200万頭の牛の生産を目論んでいる。将来は人のクローン化に進もうとしている。それに並行して人の受精卵の遺伝子のゲノム編集をして、基礎的データを積み上げ将来に備えている。しかしその過程でだれかが隠れて遺伝子操作をした卵を母体に戻して、遺伝子が改変された人を作り出さないとも限らない。
日本でも早急に使用指針を作成する必要がある。世界に共通のガイドラインの策定が望まれる。

追記
上で書いた魚のミオスタチン遺伝子を破壊して、大きな魚を得ようとするばかりか人にも応用しようとする動きがあるらしい。シャラポアの例で有名になったが、スポーツ選手は規制の目をくぐり抜けて、ドーピングしようとする。その主たる目的は筋肉強化だ。今までは男性ホルモンが主に用いられたが、規制が強化されたため、様々な薬物に逃れた。シャラポアはメルドニウムと言う抗虚血薬だ。この薬は血流を良くして疲れにくくする。
ドーピングの最終兵器として持ち出されたのが遺伝子ドーピングだ。実際にミオスタチン遺伝子に異常がある人がいて、その人の筋肉量は通常の人の倍近くあるそうだ。というわけで、ミオスタチンを破壊した筋肉細胞を選手に戻し、筋肉量をアップさせようという試み。おれおれ詐欺と一緒で、悪智慧の働く人は、次から次へと規制逃れの手段を考え、新たな規制ができると規制にかからない方法を考える。まさにいたちごっこ。


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