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Biomimetics(2)

2008年11月21日 19:15

自然の驚異(2)に学ぶ


熱帯地方にすむ鳥やカブトムシの色のなんと鮮やかなことであろう。このような進化の過程でもたらされたものを学ばない手はない。これらの鮮やかな色は色素によるものではなく、光学的性質によるものである。特殊な波長の光だけを反射する規則的な微細構造によるものだ。このような構造による色は色あせないし、色素よりも鮮やかである。よって工業的塗料、化粧品、ホログラフなどの応用価値がある。このような光学カラーをつけた車が走る日は遠くない。

オオハシもくちばしは軽くて丈夫である。ナッツのような固い実を砕くことも出来るし、とりが飛べる程に軽い。土ボタルの光はエネルギーのロスがほとんどない冷たい光を放つ。一方我々がつかっている電球はエネルギーの98%が熱として浪費される。またMelanophilaというカブトムシは卵を新たに焼けた木に産みつけるが、森林火災によって生じる赤外線をキャッチでき、100キロ先からその炎を感知できるという。この能力は米国空軍で研究され、応用化が測られている。

自然界に存在する高度に洗練された、賢い多くの道具は単純なケラチン、炭酸カルシウム、シリカなどの素材からできていて、しかもすばらしく複雑で、強い構造に組み立てられている。例えばアワビの貝殻は柔らかいチョークと同じ炭酸カルシウムでできているしかし、殻の壁面に蛋白質ナノスケールの薄さででコートされると非常に固い鎧となる。

またヤモリのどんな壁でものぼる接着性の高い足。これは指先に200万を越える数ナノメーターの厚みのフィラメントを持ち、歩く素材の表面で分子レベルで引き合う。軽いファンデルワルス力が働くという非常に単純な現象が物理学的特性にもとづいて起こるという自然界の脅威を知らされる。

少し前のニュースで日本海でのロシアの原子力潜水艦の事故が伝えられた。その事故は消化器の誤動作によりフロンガスが吹き出したためだとされる。驚いたことにその潜水艦のスクリューがこれまた何年か前にココム違反でTVで放映された技術を用いて作っているらしい。その当時はまだ冷戦状態で共産圏に武器に使用されるようなハイテクの輸出は禁止されていた。それを違反して東芝が輸出したとして訴えられたものであった。その技術がスクリューの表面を削り、波のような波形を作ることであった。この加工処理により、スクリュー音が小さく水の抵抗も減ったという。これも前に言ったように、サメの肌のギザギザやフクロウの羽のごとく、表面をできるだけ滑らかにした方が抵抗が減るといった先入観を打ち破るものだった。

しかし現在まで、だれもヤモリのように強くて、方向性を持った、自動的にクリーニングできるようなグリップに近づけていない。また未だにアワビの殻の強さを作り出す微小構造を作り出せていない。さらにはいくつかの豊富な資金をもつベンチャーが人工的なクモの糸を作り出そうとあがいた結果破産した。Why?
主な理由は自然があまりにもすばらしく、途方もなく、奔放に複雑であることである。進化は「はえの翅」や、「ヤモリの足」をエンジニアのやるように最終ゴールにむかってデザインした訳ではない。自然は何千世代にわたってめくらめっぽう、途方もないランダムな実験をやってきた。その結果、すばらしいが優美ではない組織を作り上げ、さらに次ぎの世代に向けて次の回のランダムな実験をやろうとしている。

アワビの固い殻を作ろうとすれば、15の異なった蛋白質が注意深く振り付け師の言う通りにダンスするように協調する必要がある。
またクモの糸はただ蛋白質をカクテルにするだけでできるものではない。複雑で神秘的な糸の編み手が必要である。クモは600ものノズルから7つの異なったシルクを噴射し、高度に弾力に富む構造に編み上げる。

まだまだ自然の驚異をまねて、同じような性質をもつ製品を作り出すまでにはいたっていない。自然が数億年かけてやってきた進化の糧をそうやすやすと人は盗めない。いまはまだ謙虚に自然に教わる時だ。


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