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プロジェリア症候群

2009年11月07日 15:31

老化

今日はちょっぴり専門的な話。秋の夜長に少し深刻な話を。

なぜ歳をとるのだろうか?寿命はどのように決まっているのだろうか? 人は最大120歳が寿命の限界だとされる。寿命は古来より大関心事のひとつであった。秦の始皇帝は不老不死の薬を求めて、徐福に蓬莱へ行き、仙人を連れてくるように命じたという。しかし不老不死の霊薬として丹(朱色の顔料で漢方薬として使われた)を飲みかえって寿命を縮めた。丹は朱色できれいだけども成分は硫化水銀なので水銀中毒にかかった?

早老症といわれる難病がある。この病気の特徴は生まれてすぐに症状が出始め、毛が抜け、皺が増え、身長は伸びず、若くして動脈硬化、心臓疾患が生じ、関節炎や白内障を煩い、人の寿命を早送りするかのように、早く老化し14-15歳で亡くなる。
Hutchinson-Gilford Progeria syndrome(HGPS)は一般にプロジェリア症候群と呼ばれる先天的遺伝子疾患で400万人に一人の確率で発生する。すでにTVなどでこの病気のカナダの少女、(Ashley Hegi 1991-2009この患者は最高齢17歳まで生きた)が紹介され話題になったので知っている人も多いと思う。2003年には原因遺伝子が特定され、患者のヒト1番染色体上にあるラミンA (LMNA) 遺伝子のpoint mutation(正常遺伝子と比較して構成塩基が1個入れ替わる)により、核膜に異常を来たし、老化の促進を引き起こすことが病因であると判明した。lamin Aは核内の中間径フィラメントで核膜に脂質修飾で結合し、染色体が正常に機能するのに必要である。

最近分かった事実は正常なlamin AはRBBP4/7(retinoblastoma binding protein 4/7)と結合し、さらにRBBP4/7を介してNURD 複合体(5つの蛋白質よりなる)に結合する事が分かった(Nature Cell Biol. 11, 1176-1177, 2009)。この複合体形成がヘテロクロマチン中心を保ち、正常な染色体構造保持に必要であるという。一方、プロジェリア患者のlamin A(progerinと呼ばれる)は蛋白質のC末が欠け、RBBP4/7と結合できない。そのためNURD複合体の構成蛋白質は分解してしまい、ヘテロクロマチンが消失する。結果として、DNA損傷が増加して、老化が早まる。

またprogerinはC末を欠くものの、N末側の蛋白は作られ核膜上に存在する。これが野生型のlamin AとRBBP4/7の結合を競合したり、細胞に毒性を与えるともいわれる。Rasなどのがん遺伝子産物もprogerin同様脂質修飾を受け、膜に結合している。progerinが核膜に結合できないように、脂質修飾を抑制する制がん剤をプロジェリアの患者に投与したところ、症状の改善が見られたとも言う。
このような悲惨な難病にも遅々ではあるが、少しずつ原因の解明と治療法の開発が進められている。一日も早くこの悲惨な病気から救われる治療法が見つけられる事を祈っている。

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