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南極や北極に生きる生物

2010年02月27日 14:52

極限の環境で生きる

魚や肉を一旦凍らせてしまうと野菜に至っては最悪、味が悪くなるという経験は日常誰でもしている。これは凍らせる時に、細胞内に氷の結晶ができ、細胞膜を破壊してしまうことによる。そのため、魚介類を長持ちさせ美味しく食べさせるため,様々な工夫がなされて来た。例えばチルドでは細胞が凍らない-1から-2度程度に保ち、生きていた時の状態で食卓へあげ、細胞凍結を防いでいる。そのため、生きていた時と同じような新鮮で美味しい味が楽しめる。

しかし自然界では非常に過酷な条件下に住んでいる動植物がいる。100 度に及ぶ温泉の中に住む生き物からマイナス何十度の世界で生きている生き物まで。過酷な条件で生きている動植物には過酷な条件下で生きていける秘訣を持っている。

南極や北極に住む動物や植物が極寒の地で生きていくためには、体の水分が凍らないようにしなければならない。ペンギンはすごいエネルギーを使ってひたすら体温を保ち続け、白熊は冬眠することで、エネルギーを温存するがそれでも、ある体温は保ち続けている。しかし魚のような小さな生物や昆虫などの体温はすぐに外気温まで下がってしまう。海水の氷点は塩分濃度で異なるが、通常の塩分濃度では-1.8度である。以前に南極の魚の血中に凍結を抑制する蛋白質が見つかったことはご存知であろう。この蛋白質は凍結温度を下げる作用を持つ。作用機序としては氷の表面に吸着して、それ以上氷が大きくなるのを防ぐことによるとされる。更に細胞膜が傷つくのを防ぐ効果も持ち合わせている。これまでに見つかったanti-freezing効果のある物質は全て蛋白質か糖蛋白質である。
それらは魚、昆虫や植物から見つかっており、魚のanti-freeze protein(AFP)はtype Iからtype IVにまで分類され、type Iに属する冬ヒラメやこちが持っているAFPは長い一本の両親媒性(ヘリクッスの片面に疎水性基のアミノ酸を配し、もう一方の面に親水性アミノ酸を配したもの)のα-helixよりなり、分子量が3.3-4.5 kDであった。3次元構造では3つの面よりなり、疎水性面、親水性面およびスレオニンーアスパラギン酸の面を構成していた。Type IIのAFPはシステインに富む球状の蛋白質で5つのS-S結合を持っている。

今回アラスカに住む凍結に抵抗性のカブトムシから見つかり、PNAS(106, 20210-20215, 2009)に報告されたのはマンノースとキシロースをコアーとしそれに脂肪酸が結合した化合物であった。この物質は蛋白質と異なり、容易に合成製造できるため、応用に使える可能性が高いとされる。

Anti-freezing剤の応用は①寒冷地での農作物を凍結抵抗性にする。2 寒冷地での魚の養殖 ③組織や臓器を低温で保ち、長期保存できるようにする。 で多くの会社で研究が進められている。
Anti-freezing の性質を持ち、簡単に合成できる化合物があれば、すぐにでも応用可能な分野が目白押しである。医学的にはなんと言っても、組織や臓器の長期保存が可能となり、移植がいつでも受けられるようになるという夢のような話の具体化であろう。

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