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役に立つ研究、良い研究

2010年03月06日 15:15

好熱菌研究

あなたの研究は何に役立つのですかとか、すぐれた良い研究ですかとか、科研費や予算申請時にかならず聞かれる。良い研究はある程度分かるにしても、いったい役に立つ研究ってなんだろう。直ぐに社会で活用される、企業化できる研究?確かにiPSや再生医療のようにすぐにでも医療応用に役立ちそうな領域は存在する。しかしそのような研究ばかりでいいのであろうか?

昨年秋の予算仕分けでは研究への理解が得られず、多くの研究予算がカットされた。
しかし誰からも評価されず、見向きもされなかった研究が一躍花開くことがある。これが基礎研究の醍醐味である。iPS研究だって、すでに組織になっている細胞をES-likeの自己複製能を持ち、様々な組織に分化できる細胞にすることができるということを実証するまではだれも見向きもしなかった。
しかし政治家や殆どの役人が文科系という人たちにしてみれば、役に立つとは今日明日にすぐに産業化されるとか特許になる技術だけらしい。

好熱菌は、至適生育温度が45°C以上、あるいは生育限界温度が55°C以上の微生物で古細菌の多く、真正細菌の一部、ある種の菌類や藻類が含まれる。特に至適生育温度が80℃以上のものを超好熱菌と呼ぶ。最も好熱性が強い生物は、ユーリ古細菌に含まれるMethanopyrus kandleri Strain 116である。この生物はオートクレーブ温度を上回る122°Cでも増殖することができる。
1993年 キャリー・マリスが耐熱性DNAポリメラーゼを用いたPCR(polymerase chain reaction)の研究によりノーベル化学賞を受賞した。この画期的な技術は開発当時その有用性が理解されず、NatureやScienceでは掲載がrejectされた。その当時のトップの研究者にも理解できない研究であった。

しかしこの技術によって、痕跡程度のDNAを増幅し,遺伝子工学上多大な貢献をし,更には犯罪における痕跡からのDNA診断が可能となった。画期的なインパククトの高い技術である。このとき用いられたDNAポリメラーゼは好熱菌 (Thermus aquaticus) のものであり、Taqポリメラーゼの名前はここに由来する。誰も見向きもせず、そんな役に立たない事やって何になるのかという批判も気にせず、こつこつと高熱菌の蛋白質のポリメラーゼの性質を調べる人がいなかったらPCRは現実化していなかったであろうし、高熱菌のポリメラーゼという基礎研究に目をつけてこれをPCRに応用しようとする人がいなくてもPCRの実用化はなかったであろう。このように大きな研究や世の中に非常に役立つ技術の開発は地味な基礎研究をする人とその結果に目をつけて応用を目指す人の両者が必要である。

それを最近では全く基礎研究をしなくても役に立つ技術開発ができると思い込んでいる、役人や政治家が多い。そればかりだと、薄っぺらな、マイナーチェンジばかりの研究開発になってしまい、いずれ日本の科学技術は滅んでいくであろう。全く役に立ちそうもない地味な基礎研究から画期的な研究成果や技術が生まれる事を忘れてはならない。PCRしかりお椀クラゲの蛍光蛋白質しかりである。

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