スポンサーサイト

--年--月--日 --:--

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

最強の生物クマムシ

2010年07月12日 17:59

クマムシは緩歩動物(かんぽどうぶつ)門に属し、4対8脚のずんぐりとした脚でゆっくり歩く姿から緩歩動物、また形がクマに似ていることからクマムシ(water bears)と呼ばれている(写真1)。体長は 50μm~1.7mmで、キチン質の厚いクチクラ (cuticle) で覆われた体を持ち、地球上に750種以上存在することが知られている。
呼吸器官、循環系はなく、体液による拡散で酸素と養分を補給する。酸素、二酸化炭素の交換は透過性のクチクラを通じて体表から直接行う。神経系は、黒または赤色の1対の眼と、脳、2本の縦走神経によって結合された5個の腹側神経節を持っている。消化器系は、口から胃、直腸と続き、顆粒状に蓄えられた排出物は脱皮の際に一緒に捨てられる。トゲクマムシのように単為生殖を行うものもあるが、多くの種では雌雄異体で、圧倒的に雌が多い。両性生殖の場合、腸の背側に不対の卵巣または精巣がある。受精は体内で起こる種も体外で起こる種もある。ある淡水産のクマムシは、雄が新旧のクチクラの間に精子を注入した後、雌が脱皮し 3~35 個の卵を産み落とすことで体外受精する。陸棲のクマムシでは雄は雌の生殖口や排泄口に射精し、体内受精する。約2週間で孵化する。幼生期はなく、最初からクマムシの形をしている。その後、脱皮を繰り返して成長する
陸上性の種の多くは蘚苔類などの隙間におり、半ば水中的な環境で生活している。全てのクマムシは泳げないくせに水棲で、草むらの苔や、地中、水辺、海岸の砂中などなど、ごく身の回りにたくさんいる。アルプスの牧草地でも、10cm も掘れば1平方cmあたり 300 匹も見つかる。しかも、北極、熱帯、深海、温泉の中からも見つかっている。これらの乾燥しやすい環境のものは、乾燥時には後述のクリプトビオシスの状態で耐え、水分が得られたときのみ生活していると考えられる。
クリプトビオシスは無代謝の休眠状態のことで、クマムシはクリプトビオシスになることで環境に対する絶大な抵抗力を持つ。周囲が乾燥してくると体を縮めて樽状になり、代謝をほぼ止めて乾眠と呼ばれるクリプトビオシスの状態の一種に入る。通常は体重の85%をしめる水分を0.05%まで減らし、極度の乾燥状態にも耐える。樽(tun)と呼ばれる乾眠個体は、過酷な条件にさらされた後も、水を与えれば再び動き回ることができる。乾眠(anhydrobiosis)はクリプトビオシスの一例である。温度にも強く、151℃の高温から、ほぼ絶対零度の極低温まで耐える。真空から75,000気圧の高圧まで耐え、高線量の紫外線、X線等の放射線に耐える。他にも線虫、ワムシ、アルテミア(シーモンキー)、ネムリユスリカなどがクリプトビオシスを示すことが知られている。
乾眠状態には瞬間的になれるわけではなく、十数時間をかけてゆっくりと乾燥させなければあっけなく死んでしまう。乾燥状態になると、体内のグルコースをトレハロースに作り変えて極限状態に備える。水分がトレハロースに置き換わっていくと、体液のマクロな粘度は大きくなるがミクロな流動性は失われず、生物の体組織を構成する炭水化合物が構造を破壊されること無く組織の縮退を行い細胞内の結合水だけを残して水和水や遊離水が全て取り除かれると酸素の代謝も止まり、完全な休眠状態になる。
Current Biol. 18, R729-R731 (2008)ではクマムシが宇宙空間の真空状態でも死なず、太陽光が当たった状態でも生きていたことが証明されている。
このクマムシの奇妙な生体は既に注目を集めていて、ゲノム解読プロジェクトも始まっている(kumamushi.org )

1クマムシの走査電顕写真(地球最強の生物クマムシより)2 卵を抱えたクマムシ


Goldstein Lab
 Noemi Guil Lopez
スポンサーサイト


最近の記事


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。