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青魚に含まれる脂肪酸が身体にいいわけ

2010年10月16日 15:48

今日の話は少し専門的で、難しいかもしれないのでお覚悟を。

巷ではドコサヘキサエン酸やヘキサペンタエン酸は身体にいいといわれ、食べるのを推奨されている。血液をサラサラにするとかアレルギーにならないとかがその理由。
秋刀魚や鯖などの青魚に含まれる油のドコサヘキサエン酸(DHA, C22:6, 炭素鎖22で2重結合が6個ある)やヘキサペンタエン酸(EPA, C20:5)というオメガ3系列の脂肪酸(ω3 FA)は健康にいいと言われて来た。(ω3 と言うのはメチル末端から数えて3番目の炭素から2重結合がある事を示す)がその実態は明らかではなかった。

 少しぼけて来ているので定かではないが、授業で習ったのは多分こうだ。我々は高度不飽和脂肪酸を合成する事ができず、食事から摂取したリノール酸(ω6, C18:2)やリノレン酸(ω3, C18:3)から合成する。よってリノール酸やα-リノレン酸は必須脂肪酸と呼ばれ、食事から摂る必要がある。

これらの不飽和脂肪酸の分布を見てみると、牛肉などの肉に含まれる脂肪酸はアラキドン酸(C20:4)が多く、これは必須脂肪酸のリノール酸(ω6 系列)から合成される。一方、青魚に多いDHAやEPAは(ω3系列)のα-リノレン酸から合成される。何がアラキドン酸(ω6 系列)とEPA(ω3系列)で違うのか?アラキドン酸は炎症性、アレルギー性のプロスタグランジンに変換され、EPAは反対に抗炎症や抗アレルギー作用がある事が知られていた。授業でも魚介類を主に食べるエスキモー人は血がさらさらとし動脈硬化が少ない、肉を良く食べる北欧人は血がどろどろとして、心筋梗塞など起こし易く動脈硬化が多いと習った。しかし実際どのようにして抗炎症作用を発揮しているのかは今まで不明であった。

最近出版されたCell 142, 687-698(2010)でその分子機序が明らかになった。
サンジェゴのカリフォルニア大学のOlefskyらはそれらの脂肪酸(ω3系列)が結合する受容体、GPR120を見つけた。GPR120はその名の如く、Gタンパク質共役の受容体で、ホルモン受容体の中で最も多い種類の受容体であるが、未だにその結合する生理活性物質が分からない孤児受容体(オーファン受容体)の一つであった。GPRには未だにそのリガンド(受容体に結合する生理活性物質)が分からないものが多く残っている。その中の一つGPR120がω3系列の脂肪酸、DHAやEPAの受容体である事が明らかになった。GPR120は脂肪細胞やマクロファージに多く発現していた。これらの細胞は炎症に関係するが、この脂肪酸が受容体に結合すると炎症状態が抑制された。更に高脂肪食を与えたマウスにω3系列の脂肪酸を与えると、炎症状態が抑制され、インスリン感受性も増大した。しかしGPR120を欠損させたマウスではそのような効果は見られなかった。これでやっとω3系列の脂肪酸を摂取する事が身体にいいのだという分子レベルでの科学的な証拠が得られた。

異常気象で全く採れず、庶民の魚ではなくなっていた秋刀魚も秋風が吹くとともに豊漁となり、ぐんと安く、食べれるようになって来た。最近は秋刀魚を焼くと煙とにおいが立ちこめるため、食べるのを敬遠する人が増えているが、この際、せっせと食べて、アレルギー、炎症を予防し、動脈硬化を防ごう。
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