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秋思賦

2010年11月29日 18:33

晩秋の夜に思う 2題


金木犀
秋の夜長、誰もいない深夜の街を散歩する。澄んだ冷気がほほにかかる。
月もない闇夜、外灯だけが浮かび上がる暗がりの小径をしばし歩く。

ふと立ち止まると、甘酸っぱい、金木犀のかほりが闇から漂ってくる。
どこにあるのかは定かではないが、たしかにかほりがその存在を主張している。
寝静まった深夜のしじま、熟した豊満なかほりが暗闇から忍び寄る。
見る者も嗅ぐ者もない深夜、かほりが真っ暗な闇夜を支配する。


幽愁
深い悲しみや嘆きに耐えられない時には、一人でじっと暗い小さな部屋で膝小僧を抱えて我慢するか、誰一人いない浜辺で、わんわんと泣き叫ぶしかありません。打ち寄せる波の音で泣き声がかき消されるまま、涙枯れるまで泣けばいいでしょう。無上に美しいはずの、夜光虫の蛍光も、満点の星の輝きも、遠くの漁り火も無機質な絵のよう、なぜ挽歌になってくれないのでしょう。

これら美しきものはみな命の輝きを彩り、失なわれし者には何の彩りも与えません。鈍色に光る海面。広がる闇夜。潮騒の音。ただひたすら時間の通り過ぎるのを待つだけ。泣きつかれるのを待つだけ。大切な人を失った者に残されたものには。


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