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絶滅恐竜とほ乳類の進化

2011年02月09日 18:49



「Nature」誌に発表された研究(Mammal rise 'not linked' to dinos)によると、6500万年前に起きた恐竜の絶滅は、ほ乳動物一族の進化にはほとんど影響して いないらしい。

既存の化石データと遺伝子分析によって、ほ乳動物達につい ての「supertree(生命の木)」を編纂した結果、ほ乳類の大きなグループである 「placental mammals(胎盤性ほ乳動物)」が 実際に地球上に姿を現したのは「9300万年前」という、まだ恐竜達が地球を支配 していた時期で、さらに爆発的にその種類が増加したのは、5500万年前の「Eocene Epoch(始新世期)」になって、急激に地球が温暖化してからだということが分かって来た。

さらに、Cretaceous(白亜紀)に支配的な種である恐竜達と同じ時代を生きて いたほ乳動物達が、現代のほ乳動物達の直接的な祖先なのかどうか、という事に ついても疑問視されている。

私達人類が属する「ほ乳動物」の中の大きなサブ・グループである「placental mammals」が、姿を現した時期も、種類が爆発的に増加したのも、直接 恐竜とは関係しない時代だ、という事ならば、私達ほ乳類が現在の世界で今の 地位を得たのは、単に適した環境が存在していたから、という偶然の結果なのだろうか?

… だとしたら、自らの種に適した気候が消滅した事によって絶滅が促進されて いった恐竜を始めとする多数の生物達と同様に、私達ほ乳類も生存に適さない 環境が生じた時に「滅びの道」をたどる事になるのだろうか …

ほ乳動物達について編纂された最も完全な系統図「supertree」により、霊長類達やげっ歯類達のような異なるグループが、どのように関連づけられるのか、またそれらがいつ分岐したのかが分かって来た。
恐竜達が地上を歩きまわっていた「Cretaceous Period(白亜紀)」には、 ほ乳動物達は比較的数が少ない勢力だった。そして彼等は古代の爬虫類達 によって支配された生態系の中で、多様化し発展する事を妨げられていた。


従来の視点では、恐竜の絶滅はほ乳動物達にのしかかっていた重圧と抑制を取り除き、ほ乳動物が多様化し繁栄することを可能にした。また その事によって地球では、ほ乳類が現在のような支配的な地位につく事が可能になったというものだった。

このモデルの下では、大規模絶滅の後に生じ、迅速に進んだほ乳動物の 中の大きなサブ・グループである「placental mammals」達の進化は、小惑星または彗星の地球への衝突よって引き 起こされた6500万年前の著しい地球の変化、K-T boundaryによるものだ、と考えられている。つまり「恐竜達を絶滅状態に追い込んだ隕石の衝突は、彼等が必要としていたきっかけをほ乳動物達に与えたのだということだった。
しかし今回編纂された「supertree」では、「placental mammals」は9300 万年前という、まだ恐竜達が地球を支配していた、隕石衝突が発生した 時期よりもかなり前に、既にサブグループへと分岐していた事を示している。
これらのサブ・グループが誕生した後は、ほ乳動物達の進化の割合は低下し、5500万年前の「Eocene Epoch(始新世期、5,500万年前ー3,600万年前)」になるまで、再び低いままになっていた。

「Palaeocene(暁新世)」と「Eocene(始新世)」の間に存在する境界に存在している岩石と海底堆積物の構成は、その1000年という短い間ではあるが世界的名規模で温度が摂氏6度ほど上昇した事を示している。 それは「thermal maximum」として知られている。
Eoceneの始まりは、急激な地球温暖化とほ乳動物の一団の多様性の爆発に よって特徴づけられる。ほ乳類はすでに胎盤類と有袋類に分かれて進化していたが、この時期ほ乳類のバリエーションを一気に増して行った。南米大陸やオーストラリアでは有袋ほ乳類が勢力を拡大し、進化してきたが、現在では肉食大型獣のいないオーストラリアのみで勢力を広げ多様な種が現れている。一方南アメリカ大陸では大型肉食有袋類で牙を持ったティラコスミルスが生態系の頂点に君臨していたが、地殻変動で北米大陸と繋がると北米に生息していた巨大な牙を持つ大型肉食有胎盤類のスミロドンとの生存競争に破れ300万年前に絶滅した。

placental mammal (猫、 コウモリ、クジラ、人類)の多くは、Eoceneに初めて姿を見せている。一方、恐竜達の全てがCretaceousの終わりに絶滅した わけではない。
鳥類に属さない恐竜達のうちのいくつかは、この期間の終わりに数百万年 の時間をかけて絶滅した。だからK-T境界が存在している時代に 恐竜が絶滅しほ乳類が台頭した、という古い教科書に書いてある理論は正しくない。
しかし一方で、Cretaceousのほ乳動物の化石群が、現代のほ乳動物達の祖先のもの だという考えは、未だに論争の的になっている。

古い生物学の教科書では「恐竜が何らかの理由で 絶滅し、主流ではなかったほ乳類がそこで進化する為のチャンスを得た」、と教えた。その後に、大規模な隕石衝突によって環境に大きな変化 が生じて、恐竜が絶滅したという説が唱えられ、短期間に単一の事情で恐竜が 絶滅したと考えるのは誤りだ、という反論が登場し、更には実際には鳥類が恐竜の 一員である事が主張され … その議論は尽きる事がない。科学とは現在進行形の学問なのだ、という事を つくづく感じさせる。

新たに得られた事実を冷静に判定し、先に進むという姿勢だけが、私達が 誤りに捉えられない事を保障する。どれだけ柔軟性と客観性を持てるか、 という事なのかもしれない。世界の謎を解き明かす大冒険は、まだまだ 先の長い旅のようです。

いずれにしても、生物学研究の基本はすでに存在する、生物の命や機能を司る分子群を再発見することである。そしてそれらの分子の作用機序を明らかにし、生命の成り立ちを解明することであって、化学の様に自然界に存在しない新しい機能を持つ分子(Material)を作り出す事ではない。生物学とは過去に膨大な数の生物が進化の過程で膨大な試行錯誤で完成して来た、複雑な機能を解き明かし、生物が作って来た巧妙な生命に学ぶ事にある。

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