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赤ワインのanti-aging物質、Resveratrolって効くの?

2012年10月11日 18:29

anti-aging ポリフェノール、Resveratrol

赤ワインに含まれるanti-agingの物質として富みに有名。Resveratrolの錠剤が売り出され、健康食品のブームになっている。Resveratorolを飲んでいれば健康で,長生きできるとの宣伝がTVなどでなされているが、どこまで事実であろうか?現在までに分かっている事を調べてみた。

Resveratrol(3,5,4-trihydroxy-trans-stilbene)は天然に産するフェーノールで様々な動物や人への効果が現在トピックとなっている。しかし多くのモデル動物での延命効果は確定していない。マウスやラットの実験ではがんの発症率の低下、抗炎症効果、血糖値低下作用や心臓への効果が示されている。しかし人において効果は全体的にpositiveではあるが弱い。

Resveratrolはぶどうの皮や他の果実から見つけられた。赤ワイン中のresveratrolは少なく、0.1-14.3 mg/lの濃度である。また化学合成によっても作られる。
サプリとして売られているがこれは主にJapanese knotweedから採られる。
Knotweedとは日本名イタドリまたはスカンポで、古来より生薬として食されている植物で川縁などによく見られる。
Resveratrolの寿命延長作用は2003年にHowitz and SinclairによってNatureに発表された。その結果によればResveratrolは酵母の寿命を明らかに伸ばす。そして線虫やショウジョウバエの寿命も延長した。
2007年になって他のグループも線虫やショウジョウバエの寿命延長効果を認めたが、他方、違うグループはその効果を認めなかったという。その後紆余曲折があり、結論として「年老いたマウスへの全体的な効果は良好であったが寿命延長効果は弱かった」と報告された。そして、最終的にNational Institute on Aging (NIA)が投与量を3種類に変えて実験をし、延命効果は認められなかったと判定した。
結論として言えるのは「延命効果は認められなかったものの様々ながんの予防効果は認められた、しかし経口投与での効果は弱かった。」

また赤ワインを飲むフランス人は心疾患が少ないとの定説からResveratrolの心疾患抑制効果が調べられた。Resveratrolの心疾患抑制効果の多くはDipak K. Dasの研究で証明されて来たが、彼が多くの論文を捏造していたこともあって、データの信憑性が疑われていた。Dipak K. Dasはコネチカット大学ヘルスセンターの心血管研究センターの外科の教授でResveratrolの効果の研究では著名であった。500報に及ぶ論文を書いているがそのうちの117報がResveratrolについてであったが、非常に多くの彼の書いた論文で捏造や不正が発見され、現在大学を解雇される手続きが進んでいるという。赤ワイン研究データ捏造者として有名になっている。
彼は多くの捏造データを作成し発表したが、心筋梗塞のモデル実験で赤ワインと同じく抑制効果がある事は確認されている。Resveratrolは動物実験で糖尿病抑制効果、抗炎症効果や神経変性抑制効果なども報告されている。

作用機序

この項は少し難しいかもしれないが我慢の程を。
カロリー制限によって生じる生化学的な変化の多くをResveratrolの投与で再現できる。ResveratrolはSirtuin 1 (SIRT1)やPGC-1αを活性化してミトコンドリアの機能や代謝を改善する。SIRT1は長寿遺伝子とも言われ、NAD-依存性の脱アセチル化酵素で代謝に重要な転写因子のPGC-1α やFOXO3αを脱アセチル化して活性化するためResveratrolが寿命を伸ばすのではないかと一躍脚光を浴びた。しかしResveratrolは直接SIRT1を活性化しない。
ResveratrolはMnSOD (SOD2)を14倍活性化し、過酸化物を減少させる。その作用機序はResveratrolにより SIRT1/ NAD+が活性化され、FOXO3αを脱アセチル化するとその転写活性が上がり、 MnSODの発現が強く促されることによる。

Resveratrolは直接SIRT1の活性化は出来ないと言われていたが、SIRT1活性化に至るシグナル伝達がごく最近のCell(148, 421-433, 2012)の論文で明らかとなった。Resveratorolはphosphodiesterase (PDE)を阻害しcAMPを上昇させ、その結果シグナルがEpac1/CaMKKβ/AMPK/SIRT1活性化に繋がりPGC-1αを活性化してミトコンドリアの機能を改善する。

結論

現在分かっていることはResveratrolは寿命を延ばす効果はないものの、がん抑制効果、新血管系改善効果やアルツハイマー病などの神経変性疾患などを予防するなどの効果が動物実験で認められている。しかしその効果は弱いのと吸収が悪いため経口では効きにくいという欠点がある。更に強いSIRT1活性化薬剤の開発が多くの製薬会社で現在試みられている。
参考総説:Resveratrol as a calorie restriction mimetic: therapeutic implication (Trends in Cell Biol. 22, 546-554, 2012)
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