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研究者のモラル

2013年08月08日 18:28

研究者のデータ捏造、不正経理

昨年はデータの捏造やデータの使い回しなどの不正が明らかになり注目を集めた。その最たるものは東大分生研の加藤教授らによる改ざんや捏造事件で、東京大の調査委員会が、分子細胞生物学研究所の加藤茂明元教授のグループが発表した論文を、過去16年さかのぼって調べた結果を発表した。
英科学誌ネイチャーなどに掲載された論文の実験結果を示す画像に改ざんや捏造が認められ、43本については「撤回が妥当」、10本については「訂正が可能」と指摘されたという。改ざんが認められた画像について、加藤元教授は作成に直接関わっていないが、「重大な責任を負うべき」と結論づけた。

今年になって、社会への影響力が大きく、日本の医薬行政の信頼を完全に失墜しかねない薬の有効性を判定する臨床研究で捏造が発覚した。薬が効いたかの様にデータを改ざん捏造が行なわれたが、それも異なった大学2カ所での同じ薬剤、ノバルティスファーマの開発した高血圧治療薬「バルサルタン」の効果の捏造で、明らかに人為的だと思われる。
まず最初に明るみにでたのは京都府立医大の松原弘明元教授(56)らが行った臨床研究についてで、府立医大はデータに問題がなかったかを検証し、論文に使われた解析データが人為的に操作され、バルサルタンに有利な結果が出ていたとの調査結果を発表した。調査では、臨床研究で対象にした約3千件の症例のうち223件のカルテを確認。論文のもとになったデータと比較したところ、カルテに記載がなかった病気が論文データでは存在するなどの不一致が34件あった。バルサルタンを使った場合、他の降圧剤に比べ脳疾患や心臓病のリスクが減ると結論付けられていたが、正しいデータを使った検証ではこうした結果は得られなかったという。

もう一方の不正が行なわれた慈恵医大では望月正武教授を責任者として研究がなされ、高血圧患者約3000人を、バルサルタン服用の約1500人と別の降圧剤服用の約1500人とに分けて、経過を比較。「バルサルタンには他の降圧剤と比べ脳卒中を40%、狭心症を65%減らす効果があった」などと結論付け、07年に一流英医学誌ランセットで発表した。調査では発症数をごまかした形跡はなかったが、ディオバンの有効性を導くための基礎的なデータとなる患者の血圧値について、大学の保有データと論文に使われた671人分のデータに86件(12・8%)の不一致がみられた。研究に参加した医師が大学保有データ以外を書き換えることは不可能だったことから、元社員が解析用データを意図的に操作した疑いが強いと結論づけた。

降圧剤バルサルタンに血圧を下げる以外の効果もあるとした臨床試験疑惑で、東京慈恵会医大の調査委員会は7月30日記者会見し、「データが人為的に操作されており、論文の撤回」を決めた」とする中間報告を発表した。販売元の製薬会社ノバルティスファーマの社員(5月に退職)が統計解析していたと認定し、「本人は否定するが、元社員がデータ操作をしたと強く疑われる」と指摘した。また京都府立医大の臨床研究にも同じ社員が関与しており、開発販売元の会社に勤めている社員が所属を伏せて関与していた点は極めて人為的である。また京都府立医大があたかも自分たちは被害者の様に、ノバルティスファーマ社の社員が一方的に捏造したと、病院へのノバルティスファーマ社の出入りを禁じたのもおかしな話である。論文は松原弘明元教授の責任のもと出され、重大な責任は学校側にも存在する。同じ事が慈恵医大のケースにも当てはまる。共同研究者や研究責任者は全く研究を把握し、議論すらしていなかったということか。こんな大掛かりで根本的なデータの捏造を見過ごしていた責任者の責任は大きい。多額の寄付金を製薬会社からもらった見返りに薬の効果をでっち上げるなどと言う事は決して行なってはいけない事など誰でも分かる。

薬の効果判定がいい加減に行なわれていた事は、薬事行政への信頼の失墜と、何を信じて良いか分からない患者の不安など社会に与えた影響は計り知れない。ノバルティスファーマ社は、慈恵医大と既にデータ操作が判明した京都府立医大の論文(既に撤回)を使って大々的に薬を宣伝し、売り上げが1000億を越えている。しかし、その科学的な根拠は事実上消滅した。日本の医薬研究史上、類を見ない不祥事となった。製薬会社と医師の癒着が起こる誘惑は両者側に充分存在する。でも決してその線を越えては行けないことなど研究者なら最低自覚してなければならない。

研究結果の捏造や改ざんのみでなく、研究費の不正使用も目立つ。まずは京大薬学の辻本教授による収賄事件。
東京地検特捜部は昨年7月、収賄容疑で、京都大学大学院薬学研究科元教授、辻本豪三被告(60)=公判中=を逮捕。辻本被告は、物品納入に便宜を図った謝礼と知りながら、平成19~23年、飲食代金や海外旅行の費用計約643万円を業者側に負担させたとされる。

 辻本被告はゲノム(全遺伝情報)創薬科学の第一人者。贈賄側の業者は、辻本被告の京大への転籍に合わせて、京都事務所を立ち上げるなど、長年近い関係にあった。「接待攻勢は日常茶飯事。自社のクレジットカードを渡して『自由に使ってくれ』と言われていた。

更に、最近TVや新聞紙上をにぎわしているのは東大政策ビジョン研究セ ンター教授、秋山昌範による詐欺事件で、この件については余りにもお粗末としかいいようがない。本人が積極的に研究費をだまし取ろうとしたとしか考えられない。こんなことまで研究者がするようになったのか?全くモラルの欠片も無い。

東京地検特捜部は7月25日、国の研究費約2 100万円をだまし 取ったとして、東京大 学政策ビジョン研究セ ンター教授、秋山昌範 容疑者(55)を詐欺 容疑で逮捕した。逮捕容疑は、201 0年3月~11年9月の間、システム販売会社 など6社の役員ら6人と共謀。自身が関わる国 の研究事業を巡り、データベースの作成業務などを6社が受注したように装い、国から東大に 支給された研究費を6社に振り込ませ、計約1 890万円をだまし取ったとしている。10年 2月には、共同研究をしていた別の教授が在籍 する岡山大に支給された研究費についても、同 様の手口で約290万円をだまし取ったとされ る。関係者によると、各社はデータベースの作成や調査業務などを受注したが、これらの業務を秋山容疑者の親族が取締役を務める東京都内のコンサルティング会社にさらに外注。受け取った研究費約2180万円の多くを委託費として同社に支払っていたという。特捜部は各社が受けた業務は架空だったとしている。

基礎論文の捏造改竄に始まり、更には製薬企業との癒着により、高額の寄付金を得る代わりに、臨床データの改ざんで薬が効いたかの様に見せかけるという悪質なものとなった。一方、相変わらず研究助成金の不正流用が行なわれ、それを私的な事へと使うという不正が一挙に積極的に助成金をだまし取ろうという詐欺へとこれまた悪質さがましている。
こうして見ると研究者に求められるモラルの低下が起こっているのであろうか?特に薬の効果判定が信用なら無いとなると生命にも関係し、日本のデータは信用ならないと欧米で日本の開発した薬が使ってもらえない状態にもなりかねない。そうなれば医薬産業を発展させて行こうという日本の意図をもくだしかねない。モラルの低下は社会の風潮ではあるが、今までは何も言われなくとも個人のモラルの意識で何をやってはいけないのかが分かっていた。それが日本の、親切で、信頼をうらぎらない、安心のできる心地よい社会であった。それが次第に薄れ、欧米と同じ、ぎすぎすした、行き過ぎた個人主義的な社会となって、モラルなどいっておれない社会になってしまったとしたら哀しい。

研究者にとって、大切な事は事実をありのままに書き、それに基づいて議論し、けして捏造や改ざんはしないこと、また助成金の使用にあたっては使い勝手が悪くても、決められたルールは守るというのが最低のモラルである。


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