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江戸時代の科学のレベル

2013年12月03日 18:39

江戸時代の科学

「堀江もん」が塀の内に入っていた時、インターネットを禁止されていたので、本を良くよく読んだそうだ。彼がTVで言っていたのは、一番感動を受けた本が「天地明察 (作 冲方丁)」で、江戸時代の文化度の、特に自然科学の質の高さを知って感激したんだとか。「天地明察」は一昔前にTVでもドラマで放映された。将軍の面前で碁をうち、碁を指南する家系(それには4家、安井、本因坊、林、井上があった)の安井家の碁師(渋川春海/安井算哲)は本業とは全く関係のない天体学、数学、測量学を極め、不正確であった暦を改め、新しい暦「大和暦」を作ったという話。すでに800年間中国で開発された宣明暦を使っていたため、日時が2日間もずれ、また日蝕、月蝕の予測日時も当然ずれていた。

 最初は暦を中国で使われている授時暦なるものに変えようとするが、この暦でも、日蝕の予報が外れてしまう。これは中国の経度と日本の経度がずれているための誤差が主な原因であった。もう一つ。太陽と惑星は互いに規則的に動いている。しかしその動きは一定でない。太陽は地球に最も近づく時、早く動く。これは秋分から春分までが179日であるのに、春分から秋分までは186日である事から当時でも明らかになっていた。これはケプラーの法則と呼ばれるが、その運行は楕円である。当時は誰もが円を予想していた。
 暦を作るためには「北極出地」を行いまず正確な緯度を測らねばならない。南北の経度と東西の緯度をもって地理を定める時、各々の土地の緯度はその土地にて見える北極星の高さに等しい。春海は地方へ行ってその高さを図り、距離算出、方角確定を行なった。そしてこれらを計算して全く新しい和暦、「大和暦」を完成させた。
 算哲は陰陽師統括たる土御門家を介して朝廷に改暦の儀を働きかけた。それを受け帝は誤謬明らかな現行の暦法を廃し、新たな暦法を採用する由の改暦の儀を発した。新暦の候補は大統暦、授時暦と大和歴であった。帝の勅令はどれを採用するのか,日本中がその裁定にかたずを飲んで見守った。幕府のお役人から庶民に至るまでが勝負に熱狂し、各々の暦を応援した。帝の裁定は下った。大和暦の採用であった。


 その頃、江戸幕府も3代目家光から4代目家綱へと変わり、太平の時代になっていた。2代目将軍秀忠のご落胤会津藩主の保科正之は武士社会の体制を大幅に、武断政治から文治政治へと変えた。以前の武家社会は武芸を磨き、戦闘に備えるのがいい武士だとされて来た。豊臣秀吉が天下を統一するまではそれで良かった。戦闘に勝ち、褒美に部下に勝ち取った領地を与えるという事で、忠勤を励ませていた。ところが、天下を統一してしまうと分け与える土地もなく、論功行賞もできず不平不満が募った。そのため秀吉は朝鮮にまで攻め入って、領土を拡大しようとし、大失策を犯した。江戸幕府はそのような事態が起る事を憂慮し、武闘派たる大名、加藤清正、福島政則などの名家をことごとく改易し取り潰した。更に、飢饉に備えてお米の備蓄や江戸の町に玉川上水を引き、上水道を完備させ、庶民が住みやすい、民の生活向上へと目標を定めた。そのため、庶民の生活も落ち着き、飢える事がなくなると、「衣食足りて礼節を知る」のことわざ通り、江戸文化が開花することとなる。

 余裕の出て来た人々は自分の職業とは関係ない趣味に興じることとなり、生活とはほど遠い、数学や天文学なども武士、町人問わずブームになって、まさにクイズを解くかのように、絵馬として神社へ数学の問題が掲げられ,それを解き合うということが行なわれた。その頂点に関孝和という天才の数学者が現れ、独自に和算なるものを作り出した。同時の日本が鎖国し世界から孤立し、情報が全くなく、独自に考えたのにも関わらず、その内容たるや当時、世界のトップであったというから驚き。「傍書の法」という新たな算法で、現在の代数に近いものを考案し、「解伏題之法」という今で言う行列式なるものも考案していた。

 世の中が落ち着き、生活も安定してくると、心に余裕ができて、文芸から科学に至るまで、直接生活に関わらない文化が花開く。この時代に活躍した人物には松尾芭蕉、井原西鶴、近松門左衛門や新井白石などもいる。また絵画では緒方光琳や俵屋宗達とそうそうたる人物が活躍し、この後に来るより成熟した文化「元禄文化」で大きく発展する事になる。
 本来芸術や科学は生活に余裕がある所から産まれて来た。しかし現代の科学は現実社会での実用を求める資本主義的競争の中で発展している。精神的余裕よりも札束が科学の進歩を後押ししている。
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