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ナンバー2はこうして消される

2013年12月16日 17:37

張成沢氏の粛正

最近の驚きの事件の最たるのは北朝鮮のナンバー2の張成沢氏の粛正。失脚させてどこかに蟄居させるのかと思っていたら、軍事裁判にかけて即刻銃殺刑にしたというから驚き。それも機関銃乱射で身体はバラバラ、その上火炎放射器で跡形無く始末したという。まさに恐怖政治の再たるもの。昨日までは金正恩第一書記の叔父としてナンバー2として権勢をふるっていた。処刑の理由がまたふるっている。「卑劣な手段で国家転覆を計った」「見下げ果てた犬にも劣る人間のくず張はーーー」とまで張を貶めている。なんともいやはや昨日まで持て囃し、天国から一気に地獄へと引き摺り下ろす。このギャップがすごい。一週間で逮捕から、有無を言わさず処刑へと。

ナンバー2の悲哀は歴史的にもよく書かれている。
それは 「飛鳥尽きて良弓蔵われ、狡兎死して走狗烹らる」という故事に尽きる。
「飛ぶ鳥がいなくなれば良い弓は蔵に仕舞われてしまう。狡賢い兎が死んでしまえば、猟犬は煮て食べられてしまう」という中国の古い諺である。言い方を変えれば、「用があれば大事にされるが、用がなくなれば仕舞われたり、食べられたりしてしまう」ということである。弓や犬であれば良いかも知れないが、人間もそうであるとする。


司馬遷は史記の中の「越王句踐世家」で呉越(紀元前585-473)についてのくだりで述べている。越王勾践には范蠡という謀臣がいた。越は呉王夫差により攻め滅ばされ、勾践は命だけは助けてもらっていた。それから20年間じっと我慢の(臥薪)嘗胆を味わいようやく、悲願の呉を攻め滅ぼす事が出来た。呉王夫差は勾践に対して以前にはおまえの命を助けてやったではないかと命乞いをしたが許されず自殺した。
こうして呉を討ち滅ぼすという長年の夢がかない有頂天になっている勾践を見て范蠡は密かに越を脱出した。亡命後范蠡は勾践の家臣の文種への手紙の中で「私は『狡兎死して走狗烹られ、高鳥尽きて良弓蔵る』」と聞いていますが、越王の容貌は長頸烏喙(首が長くて口がくちばしのようにとがっている)です。こういう人相の人は苦難を共にできても、歓楽はともにできないのです。どうして貴方は越から逃げ出さないのですか」と述べたが文種はその忠告に従わず、結局自殺に追い込まれる。その范蠡は後陶朱公と名乗って商売で大成功して、巨万の富を得た。老いてからは子供に店を譲って悠々自適の暮らしを送ったと言う。
漢楚(紀元前206-202)の戦い(項羽と劉邦の戦い)中での功労者である韓信は、漢と楚が戦っている内は漢の初代の皇帝劉邦に重用されたが、漢楚の戦いが終わり天下を取ると、あれ程劉邦のために尽くし、漢設立に貢献していても結局殺された。 このような例は枚挙にいとまない。

 ナンバー2の地位はつねに風前の灯なのである。
金正恩にとって北朝鮮王朝を世襲してしばらくは叔父の張成沢は後見人として、独り立ち出来るまでは、頼りになった。しかし、いまや独り立ちし、ワンマン体制も整ってくると、張成沢が邪魔になってくる。また色々な諫言で、疑心暗鬼にもなり、叔父であっても、今はもうお役目ごめんで目障り、将来歯向かうようにならないとも限らない張成沢を今のうちに除こうという気が出てくる。まさにもはや用無し、もはや狩るべき兎がいなくなり、ご主人様に楯突く犬は煮て喰えという事になる。

ここまで生死を伴わない事態でも、このようなたぐいの話はいっぱいある。人間の心理状態は太古の昔でも現在でも変わらない。
会社でのプロジェクト成功の功労をめぐっての上司と部下の争い、会社でずっと一緒に上り詰めやっと社長になったら、一緒に苦労して来た専務が疎ましくなる、研究の貢献をめぐって教授と部下との争い、大きなもの程この争いは熾烈となる。ナンバー2はあくまでナンバー2、ボスあってのナンバー2であることを忘れてはいけない、この喧嘩に勝ち目はない。時々ボスとうまくいかず、けんか別れして、一人で研究室の片隅で、周囲と浮き上がって研究をしている人を見かける。このような状態が一番まずい。意地を張らずにささっと出て行って、新しい所で勝負する方が長い人生幸せである。


人の本質は誰にも邪魔されない地位に上り詰めた後にのみ露呈する。最高の地位に上がるまでは周りに遠慮し、言いたい事も我慢する。しかし誰にも遠慮する必要がない地位に上りつめると、意見されたり、出しゃばられたりするとかちんと来る。もうお前なんか必要ないとなる。
こうして張成沢は粛正されるべくしてされた。彼が粛正されないためには、辞めて隠居し、年老いて弱ったとかぼけたとかを装おうかしかない。
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