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青が散る 神戸風景

2008年04月21日 16:21

宮本輝作「青が散る」の舞台は、著者が実際に第一期生として入学した追手門学院大学である。4年間のテニス活動を中心とした青春模様が画かれている。椎名燎平という主人公(宮本輝)が様々に悩みながら、テニスと友情を通して逞しくなっていく。宮本輝は「青が散る」の中にそうした青春の光芒ののあざやかさ、しかも、あるどうしようもない切なさと一脈の虚無とを常にたずさえている若さというものの光の糸を、そっと曵かせてみたかったと述べている。
小説の中に「王道と覇道」という言葉が出てくる。王道で行くのか覇道をとるか。2流の人間はどう頑張っても王道では1流にはかなわない、覇道を持ってしなければ倒せないとも言わしめている。だけど燎平は負けてもいいから王道で生きていきたいと思う。他大学を定年し、本学にやってきた老教授に「青年は自由でなければならない。潔癖でなくてはならない」と若者の特権は「自由と潔癖」だと言わしている。この2つのテーマが本小説を貫く大きなバックボーンとなって見え隠れする。

 青が散るには神戸の街が色々な場面で登場する。マドンナの佐野夏子の洋館風の自宅が阪急六甲駅を降り、細い坂道を少し上がったところにあり、燎平は数度訪れる。さらに三ノ宮のセンター街には夏子の実家の経営するフランス洋菓子店ドウーブルがある。燎平らのテニスの試合が阪神沿線の香櫨園で行なわれる。洋菓子店の共同経営者のフランス人ペールは阪急の岡本駅を山手側に歩いたところにある尖塔の屋根を持つ木造の2階建ての古い洋館に住んでいる。燎平と夏子が訪ねていった時に、年老いたペールは「人間は,自分の命が,一番大切よ」と言い、フランスに帰ることを決意する。
夏子の誕生会が元町通りの一角を北へ上ったところにある桃香園という中華料理店で行なわれる。「港が見える。ごみごみした街の向こうに港が光っている。港では客船や貨物船が灯をともして浮かんでた。どれも動いているものはなく、街のネオンだけが雑然と輝いていたが、海は一枚の鈍い光がたちこめて静まりかえっているのだった」とそこからは神戸の港が一望できた。運ばれてくる料理を一心に食べていると「眼下の港はすっかり暮れてしまい、散らばっている船の灯が。茫々と拡がる夜の街の延長のように見えた」。と青年の心の不安さを象徴するかのごとく文章が続く。
本小説は燎平の大阪での学生生活が主な舞台であるが、マドンナを神戸に住まわせ,度々神戸を登場させることで、マドンナを気品のある、エレガントさをもった女性に仕立て上げている。これは関西における神戸の立場を物語る。

ブログの筆者は宮本輝の作品が大好きで、全ての彼の小説を読み、泥の川、蛍川、道頓堀川の河三部作。錦繍、幻の光等はなんども読み返した。文章の美しさ、うまさと底辺を流れる人間の哀感、人間愛が好き。

写真は宮本輝が青春を過ごした 1.「青が散るの舞台追手門学院大学」2. このグランドの片隅にテニスコートを作った。
宮本輝ミュージアムの内部 3-6.。後になって気づいたが、撮影禁止であった貴重な写真。 

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コメント

  1. くりくり | URL | -

    情けない

    青が散るについて、よませていただきました。未だかつて、宮本 輝氏の作品をよんだことがない自分が悲しくなりました。私のまわりにも、彼の作品をこよなく愛する者が数名おり、うち一人は、ずっと、追手門学院に憧れ続け、ついには息子さんをそこの学生にしてしまったほどです。近くにこれだけの感化材料がありながら、きょうまで手にも取らず過ごしてしまったことが残念です。今からよんでも決して遅くはないと思うのですが、できれば、もう少し若い!!頃の自分によませておきたかった、、、、と、後悔しきりです。その頃の自分の感想と、今の自分のそれとは、また、きっと違うと思うから、、、。あの頃の自分ならどう感じていたか、、、?今となっては、知るよしもなし、、、なんて、四の五の言ってないで、とにかくよんでみます。すみませんっ!! 

  2. 藍色 | URL | -

    Re: 青が散る 神戸風景

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青が散る 宮本輝

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