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蜘蛛(suppl)

2008年09月16日 11:48

蜘蛛の糸の強さ

カンダタは極楽から垂れ下がる一本の蜘蛛の糸にすがり地獄からの脱出を試みた。しかし下の方を覗くと、続々と彼を追って蜘蛛の糸を登ってくる亡者がいる。思わず叫ぶ。降りろ。亡者を蹴落とす。とそこで蜘蛛の糸がプツリと切れ、またもとの地獄に真っ逆さま。

カンダタはそんなことする必要はなかった。蜘蛛の糸は直径5mmの細さで、亡者が10人や20人登ってきたところで、びくともしない。
蜘蛛の糸(spider silk)は鋼鉄やナイロンより強くケブラー(Kevlar, 芳香族ポリアミド系樹脂、で鋼鉄より強いが、有機溶媒に溶けず、成型が困難。塩素や紫外線にもろい)より伸びる、夢の繊維である。そして450gの蜘蛛の糸があればなんと地球を一周できる。天然の最強の繊維として、蜘蛛の糸を工業的に作ろうという試みは随分されている。なぜなら蜘蛛の糸は室温で産生および再生可能で、圧をかけることも必要せず、なにより溶媒が水でいい。

蜘蛛の糸は複雑な蛋白質分子よりでき、しかしDNA配列に繰り返しが多いため、塩基配列の解読が難しい。しかし2005年に我が国の信州大の中垣ら他3大学の研究者により卵を包む糸のDNA配列が決定された。異なった蜘蛛の糸は異なった蛋白質配列を示すが、蜘蛛の糸の一般的な配列はグリシンとアラニンの繰り返し配列かアラニンだけでできているからしい。そして自動的にベーターシートに折り畳まれて行く。アラニンに富む配列の一団は側鎖をもつアミノ酸(proline)でできた一団につながり。β-sheetの部分は結晶(crystal)構造をとり他の部位は無定形の構造(amorphous)をとる。固い結晶部分と弾性に富んだamorphousな部分で糸が構成されることが蜘蛛の糸の特徴である。Prolineの量で弾性が決まる。Prolineが多ければ弾性に富み、少なければ強い鋼のような糸になる。
夢のような繊維、蜘蛛の糸は多くの企業が血眼になって開発化を進めているが、未だ蜘蛛ほどパーフェクトに糸を作り出し、編むことが出来ていない。

このように生物に学んでそれをまねた物を作り出し、実用化しようとすることをBiomimetics(生物の代替) (Biologically Inspired Technologies)とよび、ロボットや新幹線など様々な分野に応用されている。Biomimeticsについてはまたの機会に述べることとする。

写真:蜘蛛の糸の微細構造、 固いbeta-sheet構造(結晶構造)と弾性に富む不定形構造よりなる(Wikipedia)。

Spider_silk_microscopic_structure.png
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コメント

  1. くりくり | URL | -

    蜘蛛の糸の凄さと芥川氏の知識

    蜘蛛は、その目的によっていくつかの糸を使い分けているということなので、そうすると、卵をくるんだりする時は、Prolineの量が多く、獲物を縛ったり、ぶら下がったりする時は、Prolineが少ないわけですね。まったく、どこでどうやってそのあたりを調節しているのやら、、、なんとも恐るべき生き物ですね。
    そういえば、シェークスピアの「真夏の夜の夢」には、蜘蛛の巣の止血効果についての記述があるそうで、中国4、5?千年の歴史の漢方薬にも、止血効果があるとされている?、、らしい、、です。もし本当なら、血液凝固剤としても使える??のでしょうか。
    まったくもって、どこまでも奥深い、、、。

    ところで、芥川氏は「蜘蛛の糸」という小説を書く際、この、くもの糸のSuper miracleな性質を、既に知識としておもちだったのでしょうか。蜘蛛の糸は、実は、鋼の何倍もの強さを持つほど強いということをです。これを氏が知っていたか知らずに書いていたかで、この小説の解釈なるものが、大きく変わってくるのではないか!!と、私は思うわけです。

    そもそも、仏様は、カンダタを本当に救済してやろうと思って糸をたらしたのか?

    この謎がです、もし、蜘蛛の糸が切れやすい、見た目どおりの繊細で、か細いものと定義されるなら、仏さまは、はなから、そんな気はなかった、、、ということになるし、もし、蜘蛛の糸に鋼の意味合いを含ませているなら、仏さまは、そもそも助ける気合い十二分ということになる!
    要するに、助けてやろうと差し伸べたその手段が、「蜘蛛の糸」であった。何故、蜘蛛の糸でなければならなかったのか?さて、その真意は、、、? と、いうことです。

    実に面白い!!(‥‥と、一人でうけてます。)

    「夢のような繊維、蜘蛛の糸は多くの企業が血眼になって開発化を進めているが、未だ蜘蛛ほどパーフェクトに糸を作り出し、編むことが出来ていない。」とは、ぺんぺん様のお言葉。まさか、芥川龍之介も同じ様なこと考えながら、この小説、書いたわけではないですよねえ???

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