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アゲハチョウの戦略

2008年09月26日 12:42

series 2:食うか喰われるか
アゲハチョウ(apilio xuthus)の仲間は、それぞれが特定の植物のみを食草として利用する。幼虫が特定の植物(サンショウ、カラスザンショウ、ユズ、 ナツミカン、レモン、カラタチなど、 ミカン科が食草)しか食べないので、メス成虫が正確に植物を識別して、産卵場所を間違えないことが次世代の生存に左右する。それでは、メス成虫はどのようにして数多くの植物の中から幼虫に適した食草を選択しているのかというと、そのヒミツは前脚の先端にある「ふ節」と呼ばれる部分にある。ふ節には化学感覚毛があり、植物の化学成分を認識することができる。アゲハのメス成虫は産卵に先立って植物の葉の表面を前足で叩く行動を示すが、その時に前脚のふ節で植物に含まれる化合物を感じ取っています。つまり、化学感覚毛の中に存在するA化学物質受容体にA化合物が結合すると、その受容体の活性化が起こり、その刺激がシグナルとして伝えられ、産卵を誘発するという情報伝達です。このことにより、アゲハチョウは的確に産卵するべき植物を見いだし、産卵できる訳です。アゲハは他の昆虫達がいやがる匂いのきつい、毒性の高い山椒や夏みかんなどの葉っぱを主食にすることで食物獲得競争から生き残り、快適な幼児期を過ごす事ができるよう進化をしてきたと思われます。

卵から孵ったアゲハの幼虫は4齢幼虫までは白と黒からなり、鳥のフンに擬態し鳥に食べられないよう防御しています(図1)が、5齢になると全身が緑色になって食草に似た隠蔽色(図2)に変化します。これは、一つには鳥のフン紋様のまま成長するとかえって目立ってしまうためではないかと考えられ、それで今度は葉の色の緑色に変わる訳です。
最近のScience誌に日本人研究者の擬態の分子機序解明の論文が載りました。その研究によれば、このアゲハ幼虫の擬態紋様の切り替え(鳥のフン幼虫、緑の幼虫、蛹という3段階の変化)は、幼若ホルモン(Jevenile Hormone, JH)によって制御されているということが分かってきました。つまり、JHの減少は緑の幼虫への移行を促進し、緑の文様に関係する遺伝子の発現が誘導されます。その状態でエクジソンがパルス状に高まるとさらに蛹に移行されるようです。

アゲハの幼虫の劇的な形態変化の分子レベルでの解明が日本人によってなされたことはアゲハ蝶になじみの深い日本人にとってとっても嬉しいことです。
一方、植物にしてみれば幼虫の凄まじいばかりの食欲で、食べられるだけではなんのメリットもないことに対してなぜ何らの防御機構も発達させなかったのか?成虫になって受粉を媒介してくれる将来のため、アメをただあげているだけなのか、アゲハが柑橘類独特のきつい匂いや毒性に対し耐性を獲得した結果なのか?多分後者であろうが。 
今の所、アゲハの一方勝ちのように思える?
Science 319, 1068 (2008)
Jevenile Hormone Regulates Butterfly Larval Pattern Switches”, R. Futahashi, and H. Fujiwara より
図1、鳥の糞に似せたアゲハ幼虫(手前にあるのが実際の鳥の糞で後方にあるのが幼虫);図2、葉と同じ緑に変身したアゲハ幼虫;図3、アゲハ成虫(LIvedoor photoより);
図4、日本アゲハ成虫(夏);図5、日本アゲハ成虫(春)

fig01.jpg
fig02.jpg
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Pap_xuthus.jpg






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コメント

  1. くりくり | URL | -

    アゲハの思い出

    子供の頃、蟻、ザリガニ、おたまじゃくし、ヤドカリ、アゲハ蝶の幼虫、、、などなど、その辺りで捕まえてきては家で飼っていた私です。彼らの運命が、その後どうなったか、今ひとつあいまいで、実は、あまり記憶にないのですが、きっと悲惨な結末を迎えたことには違いありません。
    が、アゲハ蝶だけは、ハッキリ覚えています。ある日、自宅の玄関先に植わっていた山椒の木の葉っぱの裏に、黄色い卵がビシッと産み付けられているのを発見。それが発端。それらを容器に入れ、ひたすら大きくすることに専念。幼虫の貪欲なまでの食欲に唖然としながらも、ただただ山椒の葉っぱを与え続け、飼育箱の清掃に励み、次第に幼虫の体が大きくなって、それにしたがって体の色さえも変わってくる様に、ただもう感動し続けておりました。
    というわけで、この度、ペンペン様が添付してくださった4齢幼虫から5齢幼虫の写真、当時のことなど思い出しながら、懐かしく見せていただきました。

    しかしです、ついぞ、
    「植物にしてみれば幼虫の凄まじいばかりの食欲で、食べられるだけではなんのメリットもないことに対してなぜ何らの防御機構も発達させなかったのか?成虫になって受粉を媒介してくれる将来のため、アメをただあげているだけなのか、アゲハが柑橘類独特のきつい匂いや毒性に対し耐性を獲得した結果なのか?」、、、等のペンペン様が抱かれた疑問など、何一つ頭に思い浮かべることなく過ごしてきたわたくし。ましてや、アゲハ幼虫の擬態紋様の切り替えが、なぜ起こるのか?、その分子機序の解明などに心はずませることもなく、日々暮しておりました。まあ、そこが私の人間としての限界といいましょうか、逆立ちしたってサイエンティストにはなれなかった、これが自然的必然性というところでしょう。

    ところで、2年ほど前、ベランダにおいてあった鉢植えの木に、なんとも気味悪い緑色の物体発見!どこからどうみてもアゲハの幼虫でした。それも1匹だけです。まさか、アゲハの成虫が間違って産み付けていったのでしょうか。
    鉢植えは、トネリコの木でした。調べるとトネリコは、モクセイ科で、間違ってもミカン科ではありませんでした。が、しかし、久し振りにトネリコの木をつくづく眺めてみると、なんと、葉っぱが、この幼虫に食い尽くされたのか、かなり激減していたのです。
    ぺんぺん様のおっしゃる、アゲハの前脚の先端にある「ふ節」と呼ばれる部分にある、その化学感覚毛なるものの、植物の化学成分の認識力というのは如何ほどのものなのでしょうか。間違い、、、ってこともあるのでしょうかね?そういえば、トネリコと山椒の木は、葉っぱの形状といい、見かけ的にとても似ていると思うのですが‥‥。近くにミカン科の植物がなかったから、とりあえず似た木に生んでしまった‥‥なんてこともあるのでしょうか?
    しかも、あの幼虫は、トネリコの葉っぱを食べて、あそこまで大きくなったのでしょうか、、、、確かに、葉っぱは激減していたのです。、、、これって、ちょっとしたミステリーですね。

    その後、トネリコの葉っぱで大きくなった(かもしれない)その世にも珍しい?幼虫がどうなったかは、ああ、あまりに悲劇的で、ここには書けません。
    では、また。

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