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基礎研究者にとって生き難い世の中に

2015年04月13日 15:07

国は応用研究重視で

ScienceのEditorialにNIHの臨床研究重視の方針に対しての意見書がNIHの長官らによって出された。
NIH research: Think globall
Anthony S. Fauci and Francis S. Collins. Science 348. 159 (2015)

  NIHでは60年以上にわたり、米国のみならず世界中の人々の健康の促進と寿命の延長への研究を援助してきた。その結果ここ70年の間に世界の寿命はNIHの資金援助による医学的および公衆衛生学的進歩により2倍に伸びた。しかし今日では財政の縮小に直面し、議会のリーダーや疾病研究者グループからNIHのファンドを米国で起こっている病気の研究に集中するようにという案が出されている。大部分のアメリカ人の病気や死を起こすような疾病研究への援助は保たれるべきではあるが、世界で生じている大きな病気の研究への援助を減らすことは賢いことではない。
グローバルに健康の促進研究へ携わることは国民、市民を守り、経済を発展させ、海外でのアメリカの利益を増加させる。生きとし生ける人々はそれが世界のどこで起こっていても、人の苦しみを軽減することに理解と感謝をしている。
アメリカの世論は発展途上国での健康を改善することをそれらの国の人々のためにも国境を越えてアメリカにやってくる感染症にさらされるアメリカ人のためにも支持している。
最近の西アフリカで起こったエボラウイルス病のoutbreakはすぐにアメリカへ波及し、グローバルな健康問題がたちまち国内問題になるのを思い起こす一因となった。医療外交という概念は貧しい国の人々の心と精神を、医学的改良、技術改良や人事交流をすることで、健全にする。
アメリカ政府は世界で最も多くの基金の支給を行なっており、世界の貧しい国の数えられない命を救う医療の発展の中心的役割を果たしてきた。
天然痘は撲滅され、ポリオは間もなく消滅する。子供が罹る重要な感染症にはワクチンが開発された。そして7百60万に及ぶAIDSでの死は抗ウイルス薬の開発と投与で中低所得国で2003年から2013年の間に激減した。
より改良された結核の治療薬、寄生虫の治療、マラリアのワクチン、HIV感染の予防と治療への新たな戦略は、将来何百万人もの命を救うであろう。
 そのような複雑な病気の研究は如何に我々が病気を診断したり、治療したり、日常アメリカ国内で見られる様々な病の予防をしたりすることへの新たな指針を与えてくれる。例えば、B型肝炎ウイルスの治療はHIVの治療目的で開発された抗ウイルス薬によって革命的に進歩した。
歴史的に見ても、現代生物学研究から派生した成果はアメリカが興味をもつ領域での人の健康や安定さを損なう主要な病気の撲滅への機会を与えてくれた。
 グローバルなパートナーと仕事してグローバルな研究成果をそれらを必要とする人々に配ることはさけてはならない。そのような約束がなければ、AIDSのような重要な病気の駆除や撲滅および薬物耐性菌、結核やマラリアのような世界的な健康への脅威の出現リスクを減らす機会を見失うであろう。

1940年にFranklin D. Roosevelt大統領は「NIHはヒューマニズムという世界的言語で話をしている」と述べている。それは国境のような制約もなく、人種、信条や皮膚の色による差別もない。 NIHはこれらの言葉で生き続けるべきである。

日本でも日本版NIH構想が打ち上げられ、より臨床応用を目指した研究体制が発足している。つまり世界的な応用重視傾向である。
日本では今日まで基礎研究はそれなりに重んじられてきた。しかしiPS細胞の確立以来、その波及効果的応用を成功させようと、政府は躍起になり多くの金をiPS研究につぎ込んできた。また多くの基礎研究が応用研究につながっていないとして、大々的にトランスレーショナル研究を打ち出した。いま巷では補助金を受けたいのならiPS研究か創薬研究という傾向にあり、基礎研究で生き残るのは難しい状態になっている。

国際感覚の薄い日本のアカデミア

2015年03月09日 15:30


ひ弱な学生、ひ弱な研究者

グローバル化に伴って、世界のどこへ行っても通用する企業人や研究者が求められている。しかし事態は時代に逆行して、留学する学生は減少し、日本の大学での外人教授は増えない。Science誌にそれを皮肉ってかどうかしらないが、日本の大学が変われるかどうかという記事を載せた。
Japan looks to instill global mindset in grads
Dennis Normile. Science 347, 937 (2015)

日本の企業は海外での厳しい競争に四苦八苦している。その問題の根源は国民の高等教育システムに対する内向さによるのかも知れない。 文科省の国際企画の局長代理は「企業に務めている人が日本の大学の学生は役に立たないと言っている」述べた。国際環境をうまくやって行く技能と勇気を持っている学生は皆無だとも言っている。そして事態は益々悪くなっている。留学する学生は減り続け、日本での外国人学生の数は減少傾向にある。ましてや外国人の教授はめずらしい。

 首相の安倍晋三内閣によるもっと国際性を持った学生を増やすようにという指示に答えて、文科省はTop Global University プロジェクトを立ち上げた。このプログラムでは13の研究大学が世界のトップ100位以内に入ることを目指して選ばれ、10年間に渡って年4.2億円の援助を受けることになった。そして24のより小さな大学は年1億7千万の補助を受けることになった。助成金額は余り多くないが、大学が国際環境に適応して、学期性やカリキュラムを変えるのを助ける。例えば、参加する大学は海外のパートナーと学生交換を容易にするため、学期の始まりを春から秋に移すなど。

 東京工大の学長である三島義直氏は「我々は教育と研究の質と国際化の改良を試みている」と言っている。そしてゴールは2030年までに世界のトップ10に入る事だ。今は東工大はTimes higher education listでは141位でQS World University Rankingでは68位だ。これは社会の変革をもたらすに十分の規模であると言っている。
これは日本の大学の国際化への最初の試みではない。今までの試みはほとんど効果なく、この新しいプログラムはそれらとどこが違うのか?と疑問が投げかけられている。日本は次から次ぎへと短期のプログラムを発足し連続性がない。と1984年に東大で初めての任期のない教授に就任した地球物理学者のRobert Geller氏は言う。これら一連のプログラムはこのTop Global Projectを成功させるのに役にたっていると言う人もいる。京大と英国の大学との協定を助けたLondon在住の野村敏雄氏は日本の大学はゆっくりだけど確実に変わりつつあると言っている。

 しかし最近の傾向には落胆させられる。文科省の資料によれば、留学する日本人の数は2004年がピークで82,945人で、2011年には57,501人となった。そして日本での外人学生の数は2010年の141774人から2013年には135,519人となった。一方、昨年の86国立大学の外人教官数は2329人で全体の3.6%にしかあたらない。

多くの日本の大学は国際ランキングを軽視しているし、国民も関心がない。現在、Top 100位以内にはたったの2大学しか入っていない。東大が23位で京大が59位である。

もし参加している大学がTop Globalの目標を達成できたなら、海外での学生の信用度が3.3%から13.8%へ、日本人学生に対しての外国人学生の割合は6.5%から13.1%へ増加し、海外で取った学位を持つ日本人に対する外人教師の割合は27.6%から47.1%へ増加するであろう。

 日本のアカデミアは島国育ちでひ弱になり、日本社会の大黒柱となるにはほど遠い。文科省の国際企画課の松本英人氏は「日本の大学から標準的なルートをストレイトに行く事を好むリクルート習慣と国際感覚を持つ人材の育成」にギャップがあり過ぎるという。遅かれ早かれ、会社は英語のスキルと海外経験を持った学生を好んで採用するようになるであろう。その時になって初めて、学生は海外に行くように努力するであろうし、彼らの仕事の前途を知るであろう。しかし、もし会社が変化を好まないなら、学生達も当然変わらないであろう。

若手研究者にとってポストと助成金の獲得が年々難しくなりつつある。

2015年02月24日 13:24

若手研究者と熟年研究者の確執

研究ポストやお金の分配と言った事に対し、日本もアメリカも同じ悩みを抱えている。どこの成熟した国でも同じであるが、若年人口の減少と老齢人口の増加という問題に悩まされている。特に日本では深刻な問題となっている。このような、社会的背景を反映して、研究社会も同じ問題を抱えている。熟年研究者の増加に伴って、若手研究者へポストとお金が回らない。熟年研究者の定年が伸び、科研費獲得期間が伸びれば伸びる程若手の出番がなくなる。

若手と熟年研究者のバランスを如何にして取れば良いのだろう?
Natureにアメリカで起っ同じような問題を議論した記事が載っている。
Boer Deng. NIH plan to give ageing scientists cash draws scepticism. Nature 518, 146-147 (2015)

簡単に紹介すれば。
アメリカの医科学研究者のグラントの獲得競争が厳しくなり、特に若い研究者がグラントを取るのが次第に難しくなりつつあると言う憂うる結果が報告された。1980年には、初めて大きな助成金を獲得した平均年齢は38歳であったが、2013年には45歳まで上昇した。更に36歳より若い人が獲得したグラントの割合が、1980年の5.6 %から2012年の1.2%へと激減している。
まさに年老いた皇太子が長い間王位継承を待ちこがれるように、アメリカの医科学研究者は独立したリーダーになることを待ちこがれている。

NIHは熟年の科学者達が彼らの研究をまとめあげるための名誉的なグラントを与えるべきかどうかを研究者達に訊ねた。そのような基金は今までの研究をまとめあげ、研究室を去って、他の仕事につき易くするための手助けになるであろう。NIHは確実にグラントを獲得して来た熟年研究者が研究室から去り、より多くのお金が若い有望な研究者に渡ることを望んでいる。

しかしながら多くの研究者がそのアイデアに懐疑的であると言う。さらにすでに豊富に支援をされて来た熟年研究者に退職時にボーナスをあげるなんてとんでもないと言う人もいる。
NIHの求めるところが独立した研究資金とポジションを持つ若い研究者の獲得であるならば、そうすればいい。実際NIHはより多くのお金を新しい研究者に支給しようとする政策を行い、ある程度の成功を治めて来た。そして、2007年以来新しい申請者が獲得したグラントは経験ある研究者に近づいて来たが、若い研究者から出される申請内容はシニア研究者からのものより質が低いと非難されている。これは多分医科学研究者における年齢比の変化による結果かもしれない。1993年には5人中1人が50歳以上であったのが、2110年には3人に1人が50歳以上であった。この事はNIHの主任研究者の平均年齢が上昇している事を説明している。特許取得やノーベル賞受賞の年齢によれば、最初の発見の年齢自身も上昇している。Northwestern Universityの経済学者であるBenjamin Jonesによれば、この変化はこの1世紀以上、科学の実りを収穫する年齢が、発見により多くの知識を要するようになったため、より歳をとった年齢へとシフトした結果だと言っている。
 問題は不安定なNIHのfundingによって更に増大してきた。1998年から2003年までは予算は2倍、27.2 billion $となった。グラントのお金の増大で、研究所は大きくなり、医科学を研究する学生の職も増加し、多くの学生をこの分野に引きつけた。
しかし、そのようなバブル期の幸運はまもなく去った。2003年以来、NIHの予算は25%減少され、ブームの間に生み出された若手研究者間で、グラント獲得への熾烈な競争が増した。
NIHの予算が着実に増加しないかぎり、医科学研究を志す学生を減らす事しか解決策は無い。しかし新しい研究者が減る兆候はない。2013年に、アメリカの大学での医科学博士取得者は8471人に及ぶ。NIHの初期段階の研究助成を受ける資格のある何千という研究者が785のグラントを争う事になっている。
つまり現状は余りにも多くの研究者が余りにも少ないいすを目指して待っている。

現状は日本でも全く同じ事。ここ20年間、日本の景気はどん底。給料は増えず、逆に減少する始末。それでも日本の未来は科学技術の発展にかかっていると、研究費は増額されてきた。また科学研究者を増やそうと博士過程の人員を倍増させた。
しかしいくら科学技術が大事だからといっても、永久に増やし続ける事はできない。昨今はぼちぼち息切れして来た。ポストも正規のポストでは無いが期限付きの特命とか特任とかの名のつくアカデミックポジションは増えた。しかしそれも財政的裏付けがなくしては続かない。結局任期が切れて、新たな短期のポストを渡り歩くという、不安定な非正規雇用を増やしただけになった。それに大幅に増やした博士研究員が参入してきて、益々科研費獲得や正規ポスト獲得が厳しくなっている。
若手研究者の安定的雇用を考えなければ、日本の将来はない。それなのに政府は更に競争をあおって、良い研究をしている研究者には多額の給料、多額の助成金をあげようという。世界のトップクラスの研究所を作り、多額の金をつぎ込んで助成する政策も行なっている。これらのプロジェクトで評価される人はすでに一流の仕事を成し遂げてピークにいる研究者だ。後は坂道を下るだけ。これらの人を更に助成してもこれまで以上の成果は期待されない。それより全く海のものとも山のものとも分からないが、山の裾野から覗いている原石に目を向けるべきだ。その原石を磨く方にお金をかけた方が、大きな金鉱に打ち当たる可能性があるのではないか?全くの単なる石である可能性も高いが? いずれにしても短期の細切れの施策を打ち出し、一つが終ると次の施策と、科学技術の振興というより公共事業のようにお金をばらまいて、若い研究者を右往左往させるばかりで、育てていこうという意図が見えない。
 これではないよりましだけど、正規のポストを持っている者やボスの大型助成金の傘の下に入っている者とそう出ない者の研究者間に益々格差が生まれ、若い人の未来が見えなくなっている。

Impact Factor (2013)から見たジャーナルの地殻変動

2014年08月26日 16:45

変わりゆく研究領域

今年もImpact Factor (2013年)の発表があったが、従来とは異なった傾向を示し、研究領域の地殻変動が示唆された。
主要一流紙のNature, Cell, Scienceやその姉妹紙のImpact Factorの高さは例年通りであるが、明らかに遺伝、ゲノム、RNA、System Biolなどと名のつく診断や医療応用の高い分野を扱ったJournalのImpact factorが上昇してきた。

上位のJournalは例年通りでNew England J Med(IF:54.42)を筆頭にNature (42.351), Lancet (39.207), Nature Biotec (39.08), Cell (33.116), Science (31.477)と続く。
 ここまでがIF 30以上で、IF:30-20はNat Genet (29.648), Nat Med (28.054), Nat Methods (25.953), Nat Immunol (24.973), Cancer Cell (23.893), Cell Stem Cell (22.151), Nat Cell Biol (20.058)とNature とCellの姉妹紙が独占。

 IF:20-10はImmunity (19.748), Cell Metabol(16.747), Neuron(15.982), Can Discover (15.929), Nat Neurosci (14.976), Circulation (14.948), Mol Cell (14.464)と続き、次に New faceのMol Biol Evolが現れる。このJournal のIFは2011年が5.55 で2012年が10.353で2013年が14.308と急成長している。これまた急にIFを伸ばして来た Mol System Biolも2013年のIFは14.099であった。このJournalも2011年が8.626で2012年が11.34と急激に伸びているのが分かる。 次にはPLOS group のtop のJournal のPLOS Med (14.00)がきて、 J Exp Med (13.912), Genome Res (13.852), J Clin Invest (13.765), Nat Chem Biol (13.217), Gen Dev (12.639), Cell Host Microbe (12.194), Cell Res (11.981)と続き, 次にPLOS groupのPLOS Biol (11.771)がhigh rank の一角を占めている。 Nat Struct Mol Biol (11.633), System Biol (11.532), Autophagy (11.423), Hematology (11.19), Cir Res (11.089), Am J Human Genet (10.987), EMBO J (10.748), Nat Commun (10.742), Genome Biol (10.465), Dev Cell (10.366), Mol Aspect Med (10.302), Brain (10.226) と続き10以上は終わり。

IF:10以下5までは多くの中堅、専門誌がひしめいている。Current Biol (9.916), PNAS (9.809), Blood (9.775), J Cell Biol (9.688)と旧来の有名一流紙がならび、 Can Res (9.284), Nucleic acid Res (8.808), Oncogene (8.559), Diabetis (8.474), J Mol Cell Biol (8.432), Cell Death Differ (8.385), Neurology (8.303), EMBO Mol Med (8.245 )となり、PLOS groupのJournal2誌が続く。PLOS Gent (8.167), PLOS Pat (8.057)でEMBO Rep (7.858), Nat Protocol (7.782), J Pathol (7.33), Mol Cell Proteomics (7.254), Cell Rep (7.227), Stem Cell (7.133), Struct (6.794), J Neurosci (6.747), Human Mol Gen (6.677), Chem Biol (6.586), Cytokine Growth FR (6.537)と続き、 Sci Signal (6.337)は有料on-lineのためかScienceの姉妹誌としては低迷気味。 Development (6.273), Aging Cell (5.939), Mol Onco (5.935), Cell Mol Lif Sci (5.856), FASEB J (5.48), BBA Gen Reg Mech (5.44), Mol Can (5.397), RNA Biol (5.337), J Immun (5.362), J Cell Sci (5.325), BBA Mol Cell Res (5.297), Mol Neurobiol (5.286), Neuro Onco (5.286), BBA Mol Basis Dis (5.089), MCB (5.036), Mol Microbiol (5.026), J Proteome Res (5.001)となる。

IF:5以下を簡単に記すると DNA Res (4.975), Genome Med (4.942), Biochem J. 4.779, J Lipid Res (4.73), Traffic (4.714), Cell Commun Signal (4.672), JBC (4.6), MBC (4.548), Cell Signal (4.471), J Neurochem (4.244), FEBS J (3.986), Proteomics (3.973), Metabolomics (3.965), PLOS One (3.534), Cell Adh Migrat (3.395), FEBS Lett (3.341), Cancer Sci (3.534), J Biochem (3.073), Gene Cell (2.855), Cell Strc Funct (2.35) となる。

  最初に述べたように傾向としてはGenetics, Genome, System Biolを扱ったJournalのIF が増したことやPLOS group(PLOS Med, PLOS Biol, PLOS Gen, PLOS Path, PLOS One)は無料on-line Journalという戦略があたり、PLOS One を除いて全て5以上という一定の高い評価を確立した。更にはMethodを扱った Journal がNat Methods(25.953)を初めSystem Biol, Proteomics, Metabolomicsと大幅に増えている。がん関係のJournalもIFをのばしており、Cancer Cell(23.893)を筆頭に今まではアメリカの癌学会が発行しているCancer Res(9.284)と続いていたが、同じく学会の発行しているCancer DiscoveryがIF:15.979と急激に地位をあげて来た。

一方でBiochem, Mol Biol, Cell Biol関係のJournal はNat Cell Biolを除いて、低落傾向にある。伝統ある名門Journalの JBCは依然IF:5以下でBJより下位に甘んじている。

国内で発行されているJournalについては相変わらずIFが低く、Can Sci (3.534)を筆頭にJ Biochem (3.073), Gene Cell (2.855)の順で、JBがGene Cellを抜き、Cell Struc Funct (2.35)となっている。

 以上総合的傾向として、基礎技術の応用を測る領域の研究、がんなどの病気を扱った研究や新しいMethodを扱った研究が急激に台頭し、一方で旧来の生化学、分子生物学、細胞生物学と言った研究の地盤が沈下しつつ有る。

何を研究する?どの研究室を選ぶ?

2014年07月22日 17:46

進路の選択

  研究を志す者にとって、研究対象に何を選ぶかは非常に難しい。ほとんどの人が学生時代、研究室に配属になる際、何気なく選んだ研究室での研究が一生つきまとうことになるのも稀ではない。実際、自分の所属している学部、学校で行なわれている研究に自分が興味あるものがない場合、それでもどこかを選ばなければならない。そのように消極的に選んだ研究室でも、一旦研究テーマを決められてしまうとそれなりに面白くなり、ずるずると引きずられてしまう。

 それから逃げ出すため、大学院に入る時に、自分の興味ある研究をやっている大学、研究室を受験するのか?これ又、別の大学を受験して、入るとなるとリスクが伴う。多くの人の場合は、自分の出身の大学院に、多少の不満があっても進む。そうして進んだ研究室の指導教官の影響は大きく、まだ未熟な研究者である学生にとって、仕方ない事であるが、先生の能力や技量が研究成果にもろに響いてくる。

  優秀な学生であってもそうでもない学生であっても、研究成果は個人の力量よりも配属された研究室のレベルや指導教官の力量が大きく反映する。レベルの高い研究室ではさほど優秀でない学生でも、指導宜しくいい成果が出て一流のジャーナルに発表でき、反対にレベルの低い研究室に身を置いた学生は優秀であっても、一流のジャーナルには発表出来ないと言われる。  何気なく選んでいる配属先。配属にあたっては、じっくり真剣に考えてみよう。研究対象と研究室のチョイス。自分の興味あるテーマがアクテイブなレベルの高い研究室がやっているとは限らない。研究の興味を重視すべきかそれとも研究室の選択を考慮すべきか?

 一旦レベルの低い研究室に入るといいペーパーは出ない、学振や助成金も貰えない、卒業しても良いポストが得られない。いったんこのようなあり地獄に入るとなかなか抜け出れない。一方で、レベルの高い研究室に入ると、研究室の手助けで、どんどんいいペ―パーを出して、奨学金のチャンスも増し、卒業した後のポストも得易くなる。運命は自分一人ではなかなか切り拓けない。研究環境,運、能力、行動力など多くのものに作用される。

 よその研究室に比していい成果も出てないしアクテブでもない研究室に属した場合。そこから抜け出すにはどうしたらいいのか?
  一番単純なのは、大きなリスクはあるが自信がある人は、外国へ留学して、良いボスといい研究環境の下で、いい仕事をすること。そしていいジャーナルに成果を載せ、これを武器に日本へ帰ってくるもよし、現地で独立ポストを得るのもよしの考え。
  他に考えつくのは、じっと我慢して、ボスの言うことを聞き、最大限の努力をして、実績を残す。そして実力がつき、自分で研究計画から実験、論文書きまで一人で出来るようになったら、ボスと相談して、チャレンジングなテーマを扱い、面白い成果を出し、それを武器にいいポストを得るという作戦だがこれはよほどの実力が無いと達成できない。
  もう一つは消極的では有るが日本的なやり方。研究室の方向に沿って最大限の努力と協力をして、研究面でも運営面でも貢献する。 すると、それ程画期的な成果を出せなくても教室への貢献が認められ、空きポストが出来たらそこに採用してもらえるという作戦。この場合、業績は飛び抜けていい必要は無いが、平均レベル以上はなくては考慮の対象にならない。 しかし全て「言うは易く行なうは難し」

  自分自身は当時生化学がはやっていたせいもあって、なにげなしに生化学の研究に入り、初めから狭い領域の機能タンパク質の性質を調べるという、小さくまとまった、将棋の詰め将棋のような局地戦ばかり戦って来た。今思えば、発生,分化、進化などもう少し生物学的に大きな現象から入れば良かった。現象から入って小さい領域に集約していく。それが反対に、小さい事から入り、大きな生物学的意義へと拡散する研究であった。後の祭り。

 しかし運良くポストを得てサバイバル出来た。自分の場合上のどれに当てはまるのか? まず米国に留学して旗揚げしようとしたが、うまくいかなかった。日本同様、良い論文が出ていないと、米国でも良い研究室では採用してもらえないのと、日本人のポスドクぐらいでは重要なテーマを与えてもらえなかった。そのため最初の目論み破れ、日本に帰ってきたら、昔の同じ研究室で助教授をしていた先生が教授となり、拾い上げてくれた。その後、運のいい事にさらに恩師の先生が引っ張り上げてくれた。それ以降は自分で好きなように研究し生き残って今日に至っている。という訳で、結局上の先生に気に入られたというのが一番大きな要因か?考慮してもらえるだけの業績はあったとは思うが。


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